水車や能の舞台など、一般の建築会社が受けきれない特殊な木工加工も請け負う会社として知られる、佐賀にある木工専門の建築会社「ウッディプロダクツ」。代表の岸庸夫さんは、好奇心旺盛に図面が無いモノでも0?長年培った経験と智恵で勝負するという。「少しずつの経験と、何とかすればなる筈だちという信念は持っていますからね。最初から、これは駄目だとか、こんなものは作りきらん、こりゃあもう手に負えんとか、そういう意識はないですね」。そんな岸さんは、特殊な木工加工を請け負う事は、この仕事の醍醐味でもあると言う。「簡単な仕事というのは、一定の設備があればどなたでも出来ます。それだと、後は価格の競争になるだけで、あまり面白くないじゃないですか。変わった依頼が来た時に、面白い、やってみようかって言いながら仕事を続けていたら、少しづつですけど、それが浸透して、どんな特殊な加工でも、あそこに持って行けば何とかなるんじゃないかと思われるようになったんですね」。岸さんは、「職人は自分の能力を低く見ている」と言う。自分は家具職人だからとか、建具専門だからとか…。しかし、「その技術を極めたからこそ、よそのでも生かされる事がある」と言う。「同じ木を扱う仕事ですからね。私達の仕事は、木との知恵比べですよ」。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も…」、そんな諺を久しぶりに思い出させてくれた岸さんは、「木で出来るものであれば、特殊な爪楊枝が欲しいと言われれば、爪楊枝を作ってあげるし、特殊な箸を作ってくれと言われれば、箸を作ってもいいですしね。まあ実際にそんな依頼はないですけど」と笑った。
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