匠の蔵~words of meister~の放送

琉球焼 丸勇陶房【陶芸家 沖縄】 匠:仲村勇さん
2013年04月27日(土)オンエア
沖縄サミットにおいて世界各国の要人の前でシーサー作りの実演を披露。作品がイギリスにある世界最大級の博物館『大英博物館』にも収蔵されている沖縄を代表する陶芸家『琉球焼 丸勇陶房』の仲村勇さん。伝統の重みに現代的な感覚を加味し、用の美を追求した雑器、風格の壺や皿、万考のシーサー、釉薬の変化が楽しめる花器類など、個性豊かな焼物をその手から生み出す。「28歳まで理髪店を営んでいたのですが、客を待つという暇な時間があることが自分の性に合わなかったんでしょうね。その頃に知り合いの陶工の手伝いをしたところ、常に手を動かす暇がない仕事に、僕の仕事はコレだと思ったんです」。その後、王朝時代の壺に魅せられて29歳の時に本格的に陶工の道に入り、以来40数年、「人の上を越そうと思えば4倍働け」と、人一倍ならぬ、4倍の努力を積み重ねてきた仲村さん。モノ作りの世界では経験が何よりもモノをいうが、陶工として作品に向き合ってきたその時間は決して自分を裏切らない。「焼物は毎回、焼く度に色が変わります。それを専門用語で『窯変』と言うのですが、窯の中で色が変わるんです。ですからコレは自分が作ったモノじゃないと思うわけです。天からの授け物という風に僕は受け取ったんですよね。誰かが僕にさせているとしか考えられないんです。不思議なモノでまったく予期しない色が出るわけですよ。その時は嬉しい反面、自分の力なのか、目に見えない力なのか迷ってしまいますよね」。そんな中、一つの作品の中に赤と青の色を表現することに成功するなど数々の偉業を成し遂げてきた仲村さん。自然の力に敬意を払い、自然の力を信じるからこそ、自然は予期せぬ力を貸してくれる。何色もの色が織りなすグラデーションが、まるで沖縄の自然の景色のような仲村さんの作品に共通する鮮やかな色彩は、決して偶然ではなく、必然の中から生まれていた。「焼き物は一生勉強ですよね。いまだに僕、失敗するんですよ。しかし、失敗はしますけど、私はその作品を割るようなことはせず、身近に置いて参考品にします。割る人の気持ちも分からないわけではないのですが、資料を残さないと原因が分かりませんからね。そうそうすることによって、また再挑戦ができるわけ。悪いところが分かるから」。トレードマークの白い髭をなびかせながら、「100歳まで現役で頑張りたい」という仲村さん。沖縄の特殊な陶土とミネラル磁気を放射し、飲料水や料理、植木などの品質向上に効果を発揮する『触媒石鉱』の開発にも成功するなど、その規格外の発想からは、工房の入り口で客を出迎える巨大シーサーのように、まだまだ人々を驚かす、人々を楽しませる、そして、人々を感動させる作品が生み出されることだろう。

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