匠の蔵~words of meister~の放送

松本農園【農園 佐賀】 匠:松本茂さん
2012年04月28日(土)オンエア
弥生時代の遺跡で知られる吉野ヶ里公園近くにある「松本農園」の代表、松本茂さん。昭和4年から続く農園を20歳で父親から継ぎ、以来40年以上、980坪もある畑で、苺や野菜、米などを栽培。16年前からは市場への苺の出荷を停止し、苺狩りの楽しめる観光農園として再出発する。「苺栽培は一年中忙しく、中腰で仕事をしますよね。そこで自分たちがどうしたら楽になれるのか、年老いたこの先も苺作りができるのかと考え、お客さんに収穫してもらおうと思ったわけです」。そうしてスタートした苺狩りだが、その苺は化学肥料を一切使わずに農薬も極力使用せず、手間隙をかけて栽培されている。「以前、苺狩りに訪れた家族の小学生の女の子が、苺を1個口に含んだ後、一人、ハウスを出て時計を見ながらウロウロしていたんですよね。どうしたのかな?と思って聞いてみると、その子は残留農薬があると蕁麻疹の出る子で、30分経っても蕁麻疹が出なかったら食べられると。そうして30分後に嬉しそうにハウスに戻っていった姿を見て、私たちは本当に責任のある仕事をしているんだということを感じました」。そうして作られる苺は驚くほど甘く、口に含んだ時の雑味がまったくない。「有機肥料もこの土地、そして作物に合った配合をしていますからね。基本は自分たちが食べて安全で美味しいモノ。そして、それは美味しいだけではない、美味しいの中に含まれる様々な味覚も研究しながら栽培しています」。そんな松本さんが提供する苺狩りには、全国的にも珍しい、ある画期的なスタイルが取り入れられている。「開園当時から守り続けているのが、時間制限ナシの食べ放題のスタイルです。ですから1日に一人で300個も食べるお客さんもいるんですよ。中途半端ではなく、今年はもう苺を食べなくてもいいよと思えるぐらい、目一杯食べてもらいたいんですよね。自分が苺狩りを楽しむ場合に、どのように対応してもらえれば嬉しいかということを考えたら、そういう形になったんですよね。利益は後からついてくるモノと。損した時は損した時でいいと。例え、その時に損をしたとしても、喜んでくれたお客さんが2回3回と訪れてくれて、トータルで少しでもプラスになってくれたらという発想で営業をしています」。そんな松本さんの農園には、連日、県内外から家族連れを中心に多くの人が訪れ、お腹一杯に。「苺狩りに来る人は、殆どが街からきますよね、ですからトイレも水洗にして、駐車場もコンクリで固めるなど配慮しています。私はここを癒しの農園にしたいんですよね。好きなだけ苺を食べて、お弁当を持ってきて、家族みんなで一日遊んでいって欲しいんです。自分もお客さんと一緒に遊びながらやっています」。その農園には、気さくな松本さんを中心に、大勢の人の笑顔が溢れていた。

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