匠の蔵~words of meister~の放送

博多曲物 玉樹 [博多曲物 福岡] 匠:柴田真理子さん
2008年05月24日(土)オンエア
博多の伝統工芸品・博多曲物の老舗工房「博多曲物 玉樹」の18代目・柴田玉樹さん。博多曲物(まげもの)とは、薄く伸ばしたスギやヒノキの木を曲げて作る博多の伝統工芸品で、代表作は七五三のお祝いに使われるお膳だが、茶道具、蒸篭、お櫃、折箱といった生活用品もあり、昔から博多の庶民に愛されている。「博多曲物は、もともと箱崎宮の祭具として使われ、神社近辺の箱崎・馬出では盛んに作られていたんですよね。通気性が優れているので、中に入れたモノが傷みにくいという特徴があるんですが、今では使う人が少なくなって、博多曲物の技術を受け継ぐのは、うちを含めて2軒だけになってしまいました」。そう言う柴田さんは、およそ10年前に福岡市の無形文化財に指定された名工だった父の跡を継ぎ、18代目・玉樹を襲名したそうだ。「父の死後、跡を継ぐ男性がいなかったんですよね。父は昔の人間ですから、娘が実家の家業を継ぐ事は、嫁ぎ先に迷惑がかかると言って反対していました。でも、私はこの技術が途絶えてしまうのはもったいないと思い、夫の了解を得て、400年以上続く曲物の歴史の中で、初めての女性職人として跡を継ぐ事にしたんです。子供の頃から父の傍で曲物作りを手伝って来ましたから、腕には自信があったんですよね」。しかし、昔気質の職人の世界に飛び込むのには、相当の決意が必要とされたそうだ。「男社会ですから、入りにくかったかって聞かれると、やはり入りにくかったとは思うんですよ。でも、私は気にしないフリをしていました。男社会に飛び込むんですけどですけど、対抗する気持を持っていたら、受け入れてもらえないと思ったんですよ。私が女である事は間違いありません。でも、その女の私が曲物を作る上で認めてもらう為には、対抗するのではなく、自分から進んで教えてもらいに行くという感じですね」。対抗するのではなく、現実をありのままに受け入れる。そして、そこから自分に何が出来るのかを考える。言うのは簡単だが、それを実行するのは難しい。「直接、言葉で『女のクセに』と言われれば、やはり反発しますよ。『私はモノを作ってます。ですから商品見てモノば言うて下さい』と。そこは、『私の作る作品見てから言うちゃんしゃらんですか』っていう気持はありますよ。そして、言ったからにはちゃんと作らないといけなくなりますよね。有言実行と言うか、自分で自分を追い込んで頑張らせている部分はありますよね」。柴田さんの気質も曲物の作業も同じなんだろう。反発するではなく、しなやかで、それでいて弾力性があって、ピンとしている。そして、それが博多っ子ならではの気風だと思う。匠の作品には、そんな博多の女性の心が良く表われていた。

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