匠の蔵~words of meister~の放送

開懐世利六菓匠 [熊本 和菓子] 匠:片岡圭助さん
2007年05月19日(土)オンエア
熊本県熊本市川尻で、中国の古い文献にも登場する川尻の地名「開懐世利(かわせり)」の名を頂く「開懐世利六菓匠」。古くから水運で栄えた川尻に、かつて花開いた菓子文化を継承し、その職人技を後世にまで残そうと、川尻の六軒の和菓子屋が集まり結成された集団である。その内の一軒「菓舗梅園」の片岡圭助さんは、「和菓子を通じて日本の食文化を見直して欲しいんですよね。そうする事で和菓子の地位が高まり、川尻の町興しにも繋がると思うんです」と、小・中学校でお菓子教室を開いたり、町の人々にアンコの炊き方を指導したりと、様々な活動を行っている。「今、モノが非常に溢れている時代でしょう。旬のモノっていうのが分からんじゃないですか。日本の食文化って言うのは、やはり目で食べる文化って言われるように、その季節の旬のモノを大事にしてお客様を招待するとか、接待するという文化なんですよね。そういうのを知らん内に私達は忘れてしまっている。子供なり大人もそうなんですけど、やはり自分が作る事によって、そこに気持ちが入って、それを食べる時には、モノを大事にする心が生まれてくるんですよね。その気持ちを芽生えさせるという所が、一つの私達の仕事になってくるんじゃないかなと思います」。片岡さんに、そんな活動の手ごたえを聞いてみると、「それはありますよ。子供達の目の色変わりますもん。食べ物に対する考え方っていうのが変わります。今まで与えられて食べていたモノと、自分の手の中から生まれて来たモノを口にするという事は、もう全然違いますからね。やっぱり舌の味も変わって来るでしょうしね。最高の味に伝わってるんじゃないかな〜と思います」と言う。旬を取り入れ、忘れられた日本文化が反映されている和菓子の伝導師として活動する「開懐世利六菓匠」。最後に片岡さんは、「アンコというのは、上質なものは紫色をしているんです。真っ黒になったアンコは、やはり炊き方が悪いんですよね」とアンコの見極め方を教えてくれた。「京都あたりでは当たり前のこの話を、九州の人間はあまり知らない。そんな所から始めないといけないんです」と陽気に話す片岡さんたちの活動は、和菓子の文化が根付いていないと言われる九州で、大きな一歩となる事だろう。

| 前のページ |


| 前のページ |