匠の蔵~words of meister~の放送

イラブー料理 カナ【イラブー料理 沖縄】 匠:我謝藤子さん
2012年05月12日(土)オンエア
滋養強壮に効くエラブウミヘビを使った「イラブー料理」で知られる琉球料理の名店『イラブー料理 カナ』の女将、我謝藤子さん。昭和56年に開店し、以来30年以上、確かな味覚を持つ元フランス料理人の夫と共に夫婦二人三脚で、素材と調理法に徹底的にこだわり、薬膳としてではなく口に美味しい「イラブー料理」を提供する。「イラブー汁は、イラブーを綺麗に洗ってブツ切りにして、水に一晩つけて戻します。そして、半日炊き込んだ上で骨抜きをして、かつお出汁、昆布、テビチ(豚足)などと一緒に更に煮込んで作ります」。手間隙から沖縄では琉球宮廷料理の最高峰として、1000年も昔から珍重されてきたという「イラブー料理」。イラブーの旨味が溶け出した滋味豊かなスープを飲むと、体の芯がじんわりと熱くなる。「イラブーには体の機能を高める成分が豊富に含まれていますので、汗をかくほど体が温まります。イラブーの脂には血管拡張作用や解毒効果など、様々な効能が確認されているんですよね。その為、価格も高価となり、昔はお金持ちがイラブーを炊いていると近所の人が匂いを嗅ぎに集まってきたそうですよ」。料亭で注文すると1万円は超える「イラブー料理」。しかし、『カナ』では3500円という低価格で提供しているという。「いくら医食同源や良薬口に苦しと言っても、やはりお客さんに食べて頂けないことには、どうにもなりませんよね。イラブーは脂が酸化しやすく、すぐに臭みが出てきますので、それをいかに美味しくするのかということに30年間、腐心し続けてきました。ですから美味く出来あがった時には、踊りたくなるほど嬉しいんですよね。私の性分なのか分かりませんが、とことん考えて突き進まなければ我慢できないんです。そんなイラブー料理ですが未だに完成したとは思っていません」。78歳となった今もなお、我謝さんが闘い続ける理由・・・それは、「イラブー料理」が持つ、人を幸せにする力を知っているから。「皆が笑顔に元気になっていくのが嬉しいですよね。皆さん、ただで食べさせてもらったみたいに、喜んで帰っていくんですよ。私、ちゃんとお金頂いてますけどねと言いたくなる、うん」。優しい笑顔で客さんを出迎える我謝さんに逢いに、観光客のみならず地元の人も多く集う『イラブー料理 カナ』。そこは、誰もが体も心も元気になる癒しの空間でもあった。

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