今や大分の「関アジ」と並び称される長崎のブランド魚「ごんあじ」。回遊せずに五島灘の特定の地域に生息する瀬付きと呼ばれるマアジを生きたまま、まき網で捕獲し、畜養という人の手が加えられて作られる「ごんあじ」は、250g以上のものを指し、体脂肪の含有率が高いのだが身が引き締まっているという特徴を持つ。そんな「ごんあじ」は、平成5年に「長崎県新三重漁業協同組合 柏木水産」の柏木哲さんが、日本一の漁獲高を誇る長崎のアジの価値を高めようと苦労の末に生み出した。「長崎県はアジの水揚げが日本一なんですが、年々、その資源も減少しています。いずれ今までのやり方では通用しなくなると考え、買い手市場から売り手市場へと変えて行こうとブランド化に取組んだんです」。その昔、長崎のアジは、その殆どを静岡県沼津市の加工業者に買い取られていたそうだが、皮肉にも、その沼津市でブランド化されるという事態になってしまったそうだ。「その時、長崎のアジは美味いんだと確信しました。でも長崎でブランド化する以上は、沼津のアジと味の違いがなければいけません。そこで、アジに畜養という人の手を加えて『ごんあじ』を生み出したという訳です。畜養する間は餌を全く与えません。静かに活かし捕獲の時や運搬の時に生じたストレスを開放してやります。そうすると肉質が変り、立派な『ごんあじ』に育っていくんですよ」。体の色が、まさに黄金色に輝いていることから名付けられたという『ごんあじ』。その重厚なイメージと違わず、その身付きの良さから開きにした場合、楕円形にはならず真丸になるそうだ。「魚の文献にものっているように、
やはり魚の内で味が一番美味しいからアジと付けた訳なんです。私はアジは味たいというような気持ちで取組んでいます」。
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