匠の蔵~words of meister~の放送

平田椅子製作所【椅子 佐賀】 匠:平田尚二さん
2012年05月19日(土)オンエア
諸富・大川家具の中で数少ない「脚物」と呼ばれる椅子を専門に製作する『平田製作所』の代表、平田尚二さん。
工場とショールームを構える佐賀市諸富町は佐賀市を代表する家具産地。筑後川を挟んで隣接する全国有数の家具産地である大川市とゆかりが深く、『平田椅子製作所』も平成4年に大川市から移転。先代の時代から脈々と受け継がれてきた確かな職人技で、時代のニーズに細やかに対応し、シンプルで美しい豊かさを追求した椅子を製作し続ける。「我が社は昭和40年代から椅子作りを行っているのですが、コストではどうしても海外メーカーに負けてしまうので、そのような低価格家具との差別化を図ろうと、高品質で高付加価値の製品作りを進めてきました」。そうして、『POSA』と呼ばれる、素材と座り心地の良さ、そして、デザイン性に特化した定番商品を生み出す他、佐賀大学医学部と連携し、座る人の体型に合わせた『人にやさしい椅子』などを開発。オリジナリティー溢れるラインナップで成功を収めている。「人にやさしい椅子は、将来の高齢化社会を見込み、平成7年から開発に取り組みました。最初は障害者向けやバリアフリーを意識していたのですが、多様なニーズに応えなければならない障害者向けの製品は、既製品として製作するのには不向きでしたので、コンセプトを年配者や腰痛に苦しむ人なども日常的に使用できる製品にシフトして完成したという訳です」。『人にやさしい椅子』の最大の特徴は、背もたれの張り調節。背もたれ裏のベルトで、座った時に最も安定した頭がつく姿勢を保持し、座る人に合わせた適切な背もたれの形に調節できる。「本来、人間の体は、立った時の姿勢を保持する作りをしているため、座るという行為は、腰に負担かかるものなんです。しかし、人間は立ったまま生きていくことは出来ませんので、でしたら少しでも腰への負担がかからない椅子を開発したい。そんな思いで製作しました」。その他、平田さんは通気性や体圧分散性能に優れたクッションをシート全体に採用。体型に合わせて3サイズから選べるようにするなど、徹底的に座る人への優しさを追求する。「我が社は椅子作りのコンセプトとして、『語らいの下にいつも』というキャッチコピーを採用しているんですね。私の家庭もそうでしたが、やはり家族の絆は、朝食や夕食、そういった家族の団欒の中から生まれてくるものだと思うんです。ですから、我が社の椅子は、家族の絆を下から支えるんだという気持ちを大切に製作しています」。家族を支える椅子だから...そんな職人の想いが込められた『平田製作所』椅子。それは座る人に安らぎと落ち着きを与えてくれる椅子。「座っている時は、いつもこの椅子は、これでいいのだろうか?もう少し改良を加えたら、もっと座りやすくなるのではないかなど、常に色々なことを考え続けています。ですから、椅子に座っても、なかなか落ち着くことが出来ないんですよね」。

| 前のページ |


| 前のページ |