匠の蔵~words of meister~の放送

おおき屋【琉球絣 沖縄】 匠:大城哲さん
2009年07月04日(土)オンエア
沖縄の織物の中でも難易度の高い“絵図式種糸”を得意とし、日本の絣のルーツとなる「琉球絣」を製造する「大城織物工場」の直営店「おおき屋」の5代目・大城哲さん。平成2年に4代目の父、大城清栄さんが他界したのを期に、現在の道を志す。「沖縄の場合は、伝統工芸に指定されている織物の産地が沢山あるのですが、そのほとんどが戦争の影響で一度なくなってしまいました。この琉球絣の場合も、私たちの祖母や祖父の時代の人たちが、大変な苦労をして復興させた訳なんですよね。ですから、その伝統技術を受け継ぐという事は、プレッシャーでもありますが、私たち次世代の人間の責任でもあると思います」。琉球王朝の時代に南方より伝わり、予め染め分けた絣糸を用い多彩な文様を織り上げる「琉球絣」。大城さんは分業化されている「琉球絣」の製造過程の中で、主にデザインと染色を手掛けている。「最初は技術ばかりを追い求め、精巧で精密な柄を作る事が多かったのですが、お客様はシンプルに柄より、好みの色で選ばれます。やはり製造者の思いだけではなく、実際に着る方の事を考えて、シンプルに製造する事が大切だと思います。しかし、もちろん技術は大切ですから、最初からシンプルを目指すのではなく、高いレベルの技術を持った上で、引き算していく事が出来れば良いと考えています。職人気質の人は、自分の技術に自信がありますから、『自分の仕事はこれでイイ』という風にやるのでしょうが、やはり “用の美”というものを考えると、実際に使って頂かない事には、自分たちの仕事は成り立っていきません。やはり昔と今とでは、モノの使い方など変わって来ていますので、その辺は現実を見つめ、やはり色々な情報を職人もお客様と共有し、イメージする事が大切だと思います」。どんなに技術がある人でも、常に世の中のニーズを知っておく必要があるし、また、反映出来るのが技術でもあるのだろう。一度、戦争で無くしながらも、先人たちが復興させた琉球絣の技術...。それは大城さんたちの手により現代のニーズに揉まれ、さらにタフなものとなり受け継がれている。

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