匠の蔵~words of meister~の放送

タンドルマン [福岡 パン屋] 匠:渡辺裕之さん
2006年07月15日(土)オンエア
福岡市郊外の住宅地にあるパン屋「タンドルマン」。ジャパンベッカーマイスター協会が認定するAクラスのパン職人であるオーナーシェフの渡辺裕之さんは、パンの命「菌」を生み出す発酵の世界に魅了され、現在も新しい挑戦を続けている。そんな渡辺さんを魅了する発酵の世界とは、人間関係にも似た、とても繊細で興味深いものだった。「以前、百貨店のベーカリーの方にいまして、一生懸命作るんですけど、一杯モノがある、何でもあるっていう中で、パンが何かモノみたいに感じて来たんです。作り手も何かモノを作ってるようで、何となくそういう嫌悪感があったんですよね。発酵というのは、モノじゃなくって、自分の子供を育てるように作らないとダメなんです。小さいうちからキチンと育てていけばキチンとした子供が出来るんですけど、愛情を与えてやんないと、ちょっとグレちゃうよっていう感じの、そういう世界なんですね」。渡辺さんは、まるで本当の子供を見るような優しい目をして語ってくれた。「大事に育てて大事に焼き上げた、子供達といいますかね。そういったモノで考えていますから」。そんなタンドルマンには、常連客の子供のアイディアから生まれた人気商品もあるそうだ。「お客様の生活の中にあるパン屋になりたい」と語る渡辺さん。その愛情は、パンにも客にも、たっぷりと注がれていた。

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