匠の蔵~words of meister~の放送

ナポリピッツァ研究所 イルフォルノドーロ【ナポリピッツァ 熊本】 匠:原田将和さん
2014年07月26日(土)オンエア
菊池市で本格ナポリピッツァを提供する『ナポリピッツァ研究所 イルフォルノドーロ』の原田将和さん。原田さんは20代の頃、様々な仕事に携わる中でナポリピッツァ職人と出会い、一気にその世界に魅了され、2010年にカラフルなピッツァ窯を備えた、カジュアルな雰囲気のナポリピッツァ専門店をオープン。絶妙なサックリ感とモッチリ感のバランスを実現した原田さんの作るナポリピッツァは、全国のピッツァ好きから愛されている。
「ナポリピッツァには材料や製法、所作などに厳格なルールがあって、そのルールの中で、それぞれの職人が自由に個性を表現しているんです。僕はその何でもアリではない部分、ある意味、不自由な部分が面白いと思ったんですよ。特に所作などはスポーツの型のようで、本当に極めようと思ったら、まるでアスリートの気分が味わえる程、厳格ですからね」。スポーツはルールがあるから成立するのと同じように、ピッツァもルールがなければ、ただのパンとなってしまう。原田さんは師匠のもとで勉強してきた訳ではない為、なおさらルールを守るという意識は強いという。
「ナポリピッツァの中でも、トマトとモッツァレラチーズとオリーブオイルというシンプルな具材で作る『マルゲリータ』は“完成された料理”と呼ばれていて、ルールを変えることは許されないんですよね。しかし、だからこそ料理人の個性が顕著に現れるんですよ。ですから僕は『マルゲリータ』に関しては“作る”ではなく、“表現する”という言葉を使っています。絵画などの芸術と違って、ピッツァの場合は毎日、何枚も自分自身を表現できて、一人ひとりのお客様を感動させることができますからね。こんな面白い仕事はないですよね」。そんな原田さんのナポリピッツアは、イタリアではなく、地元、菊池市の豊かな食材を使用して作られているという。
「僕がナポリピッツァを自分なりに理解した上で出した結論は、ナポリピッツアは新鮮な食べ物だということなんですよ。ピッツァは生の生地から焼き上げるまで3分しかかかりませんからね。ですから、どんなに本場、イタリア美味しい食材を取り寄せたとしても、日本に届くまで時間がかかりますから当然、鮮度が落ちてピッツアの味も落ちてしまいます。それは僕が表現したいナポリピッツァではないと感じた時に、すべてを替えることを決意しました。イタリアの食材を使わずに、地元の新鮮な食材を使えば、逆に僕が表現したいナポリピッツァの味を作ることが出来るのではないかと思ったんですよね」。ナポリピッツァの厳格なルールは、食材の産地まで規定されている訳ではない。故にルールを柔軟に解釈し、地元の新鮮な食材で、イタリアのそれに負けない味を実現した原田さん。そのナポリピッツァは、まさに『菊池のナポリピッツァ』と呼べるモノだった。
「絶対に守らなくてはいけないルールというのは、守らざるを得ない部分なんですが、菊池の食材がどれだけ美味しいのかということを、よく知っていますからね。やはり良いモノは使っていこうということです」。現在、原田さんの店で使われている、ピッツァに欠かせないモッツァレラチーズは自家製だという。それは原田さん自身、「本当に偶然にできたモノ」だいうが、座右の銘に『思い続ければ夢は叶う』という言葉を掲げ、常に夢を思い続け、努力を怠らなかったからこそ、神様が原田さんにご褒美をくれたのだろう。

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