匠の蔵~words of meister~の放送

名越工務店 [福岡 山笠] 匠:名越正志さん
2007年07月14日(土)オンエア
760年以上の歴史を持つ「櫛田神社」の神事「博多祇園山笠」。7月1日の「飾り山公開」を皮切りに、「追い山ならし」「集団山見せ」「流れ舁き」などが行われ、15日早朝の4時59分に7地区の舁き山が疾走する「追い山」でクライマックスを迎え、そのフィナーレと共に、福岡・博多の夏が始まると言われている。その山笠の舁き山と飾り山を合わせて、現在5台もの山を手掛け、「博多祇園山笠振興会」の役員も務めている山大工、「名越工務店」の名越正志さんは、「山笠は自分の人生のすべて」と語る、生粋の熱い博多っ子だった。「元々、博多以外の場所で就職が決まっていたんです。でも、この博多を離れてしまうと、この山笠に参加出来なくなるでしょう。だから地元に残って大工の仕事に就いたんですよ。山があるから大工になったんです」。そんな一人の人間の人生をも左右させる山笠の魅力はどんな所にあるのだろうか?「山笠の魅力は、やはりフィナーレの追い山に見られる勇壮な所でしょうか。1000人もの博多の男達が、1トンもの重さがある舁き山を担ぎ、5キロの道をおよそ30分で走り抜けますからね。そして、その本当の魅力は、やっぱり生で見ないと伝わらないと思います」。そんな名越さんは、「山笠は今年で766年です。そんな歴史ある山を製作する事は、名誉でもあるけど、やはり凄いプレッシャーがあります」と言う。だからこそ、その製作には、何年続けていようが常に全力で取り組んでいる。「長年やって来ましたが、1番大事なのは、やはり事故が起こらないようにする事、ただそれだけですね。かなりの衝撃に耐えながら、5キロ30分間も走らせないといかんからですね。これは、やはり櫛田神社の奉納神事なんで、なるべく綺麗に奉納したいんです。自分達がそれを作ってるんですから、そこら辺の心構えをしっかり持って、とにかく頑丈な山を作るという事だけです」。また、名越さんは、「山笠を支える土台も見て欲しい。そこには伝統の技術が結集していますから」とも言っていた。普通は、派手な飾りだけに目が行きそうだが、山笠を土台から愛し、そして、その土台から祭りを支えている匠がいて「博多祇園山笠」は、多くの人の心に感動を呼ぶ。

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