熊本の市内で、一日一組の客を相手に、きめ細やかなサービスと、顔の見える料理を提供する、「格子戸厨房　塩飽屋」。店主の増永慎介さんは、ホテルの料理長を経て、「料理人として、本当にやりたかった仕事を実現したかったんです」と、古い呉服屋を改装して、フランス料理店をオープンさせたそうだ。そして、増永さんは、そんな「塩飽屋」ならではのサービスの考え方を教えてくれた。「お客様には、お客様の想いっていうのがあるからですね。出来るだけ、わがままを言って頂く言葉が、逆にこっちとしては欲しいんですよ。作った物は、もちろん、そのまま食べて頂きますけど、これは好きだから是非とか、これは駄目だから入れないで下さいって言うのは、どんどん言って頂いた方がこっちとしても良いんです」。こだわった料理店というと、敷居が高いというか…ガタガタ言わせないところがある。しかし、匠は、人に満足を与える事に、とても真摯だ。「色んなお客様がいらっしゃいますから、当然、好き嫌いは、あると思うんですよ。ですから、黙ってじゃなくて、やっぱり逆に言って頂いて、そして、違う物をお出しするというのが、私がやりたかった本当のサービスです」。

｜ 前のページ ｜