佐世保バーガーと並ぶ、長崎は佐世保の名物料理、レモンステーキ発祥の店「れすとらん 門」の店長・森孝之さん。「デミグラスソースは日本人にはくど過ぎる。さっぱりと食べられるステーキは出来ないか」と、約40年前に先代が考案したレモンステーキの味を、今も頑なに守り続けている。「このレモンステーキは、甘辛い醤油ベースのソースに大量の生レモンを使用するのが特徴で、その爽やかで香ばしい匂いに、毎回我々の食欲までそそられてしまいます」。今や佐世保の数多くの店で提供されているレモンステーキだが、ここ「れすとらん 門」には、やはり元祖としてのこだわりがある。「
ウチのレモンステーキは、昼のランチタイムの値段でも2700円します。でも、他所様は1000円位でも食べられるんですよね。その値段の違いは肉質にあります。レモンステーキは、肉とソースが絡まないと美味しくありません。ですから固い肉を使うと、ソースが絡まないので美味しくないんですよ」。レモンステーキには、自然放牧で一頭一頭大切に肥育された平戸・五島牛を使用、品質も徹底的に管理され調理されている。「佐世保バーガーと一緒で、レモンステーキという名前だけで美味しいというイメージを持ってらっしゃる方が沢山います。しかし、それが私は嫌なんですよね。名前で商売をするのではなく、味で商売をしようと思えば、やはりお金がかかってしまいます」。名物を求めて来た人が、その後も愛してくれるのか、「あ〜こんなもんか」と思うのかは、その名物が本当に美味しいかではなく、たまたま出合った最初の味で決まってしまうから難しい。名前で商売をせず、常に一期一会の気持ちで商売をする。そうやって名物はさらに広まって行く。「私はオーナーではありませんが、やはりオーナーと同じ気持ちで仕事をしています。そうでないと、お客様にも失礼ですからね」。
そんな森さんは、今、「れすとらん 門」の新しい名物となる料理を日々研究しているそうだ。「レモンステーキはベースとしてありますから、もちろん全力で守って行きます。後は、そのベースに、どれだけ上積みしていけるかですね」。
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