匠の蔵~words of meister~の放送

坂本屋 [長崎 旅館] 匠:坂本悦子さん
2006年08月19日(土)オンエア
稲狭山から見る夜景が綺麗な街、長崎…、しかし、長崎市内では、次々と昔ながらの風情を残す旅館の灯が消えていっている。そんな中、明治27年から営業を続けている、「坂本屋」の女将おかっつぁま坂本悦子さんは、「旅館というのは、お客様にとっての旅先での家庭」と、格式ばった接客ではなく、自然体での接客を心掛けている人物だった。そして、そんな坂本さんは、人が人を接客する事の本当の意味を知っていた。「旅館っていうのは接客ですから、マニュアル通りに、こう言われた時には、こうしなさいって出来ないと思うんですよ。お客様と接する接客係の人の人となりというのが出ると思うんですね。ですから、その接客係の人達が気持ち良く仕事が出来ないと、お客様に対しても、優しく接する事が出来ないと思いますから、その人達に気持ち良く働いて貰えるようにするのが、私の一つの仕事だと思っております」。人を接客する以上、最良の対応をマニュアル化する事は出来ない。何故なら人によって望む応対は、千差万別だからだ。それなら、まずは、接客する人たちの心を穏やかにというか、優しくというか、大らかにというか、そうしていく方が、様々なお客さんに対する最良の応対への近道と、坂本さんは考えたに違いない。「気持ちというものは、必ず人に伝わります。」うわべだけではない、伝統ある坂本屋の本質を坂本さんの会話から垣間見ることが出来た。そんな坂本さんは、「伝統は、守り伝えるだけではなく、革新の積み重ねだと思う」と言う。そして、「夢は、坂本屋の良さを次の世代に手渡すことです」と言う。坂本屋の良さとは、もちろん坂本屋で働く全ての人たちに共通する、その気持ちと心なのだろう。

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