茂木町の特産物であるビワ。その旬は、初夏のごく短い期間だ。「一年中食べたいと考えたのが始まりだったんです」と、営業部長・梅村玉三さん。そこで、何かで包んでみたら?という発想が生まれた。「最初は寒天にしてみたのですが、ビワの食感が消えてしまって。それから試作を重ねて、完成するまでに3年かかりました。渋皮は、昔と変わらず手作業で取り除いています」。 こうして世に出た「元祖茂木ビワゼリー」、一見シンプルの極み。だからこそ、当初は地元の競合店から「邪道だ」との声もあった。しかし、長崎を代表する銘菓となった今では、様々な店がビワゼリーを販売している。「それでいいんです。真似するな・真似されろが、うちのモットーですから。以前もある物産展で、隣の店がうちの商品とそっくりのものを販売しているのを見たときは、よっしゃ!という感じでしたよ」。 1844年創業の老舗菓子店の探求心は衰えることなく、毎年ひとつ、新商品の考案を心がけているという。「通販で何でも買える時代ですが、わざわざ足を運んでもらえるような、魅力あるお菓子作りを続けていきたいですね」。
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