海の幸と山の幸に恵まれた鹿児島県。そんな環境で生まれた郷土料理のひとつが「さつま揚げ」。今では日本全国で親しまれている味だ。大正元年創業の老舗「有村屋」の有村興一さんは、故郷が誇る味に情熱を持った人だった。 「各県で味覚の差がありますよね。でも、鹿児島の味で勝負しないと特徴がなくなってしまう。私が始めた頃、さつま揚げで全国品評会の大臣賞を取った店がなかったんですよ。鹿児島がさつま揚げの本場なのに。だからまず、それを取るつもりでやりました。3年くらいかかりましたけどね」と有村さんはいう。 故郷の味に絶対の自信を持っているから、それを武器にする。そんな思いが老舗の味を支えているのだろう。
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