匠の蔵~words of meister~の放送

やんばるエコツーリズム研究所【エコツアー 沖縄】 匠:中根忍さん
2011年03月05日(土)オンエア
「東洋のガラパゴス」と呼ばれる沖縄本島の北部一帯、やんばる(山原)の自然を紹介する「やんばるエコツーリズム研究所」の代表・中根忍さん。1998年に観光の専門学校を退職。やんばるに移住し、以来、鬱蒼と生い茂る原生林にマングローブ、ヤンバルクイナをはじめとする希少動植物などを紹介するエコツーリズムを通して、自然保護と環境教育、ひいては地域活性化に取り組んでいる。「私が移住した頃は、エコツアーやエコツーリズムなどという言葉は全く知られていませんでした。しかし、やんばるの大自然の奥深さに触れれば触れるほど、これは自然保護や地域活性化に繋がるという思いが強くなりエコツーリズム活動を始めたという訳です」。最初は大自然が身近にある為、その素晴らしさに気付かない地域住民から、「真面目に働け」といった厳しい言葉を数多く貰ったそうだが、やんばるの自然に魅了された中根さんは初志を貫徹。勉強会を開くなどしながら、エコツーリズムの意義を浸透させていったと言う。「私がエコツーリズムを始めて2年目の時、地元の新聞に『エコツーリズムが自然を破壊する』という投稿がありました。エコツーリズムと開発行為は同じだと理解されてしまったんですよね。しかし、自然を破壊してしまってはエコツーリズムは成り立ちません。自然を活用して経済波及効果をもたらす為には自然を守らざるを得ない。そこがこの仕事の一番気に入っているところなんです」。中根さんはやんばるを案内する際、ガイド料金と共に、参加者一人につき200円の環境協力金を徴収。それを基金に寄付して環境の保護、保全に取り組んでいる。そうして目に見える形で活動の成果を示し、地域住民からの理解も得られるようになったと言う。だからこそ中根さんは、近年のエコツーリズム・ブームの高まりによって生まれた、大勢の人数で押しかけるようなツアーには憤りを隠さない。「自然を活用するのであれば、その利益を自然に還元するのは当たり前です。そこを考えずに、ただ利益だけを求めて環境に負荷をかけるのは、エコツーリズムとは呼べません。しかも大人数になるとガイドの声が届かずに安全管理もままならず、なにより動物は影を潜めてしまいます。自然へのストレスも参加者へのストレスも最小にする。そう考えれば催行人数は限られてきますよね」。自然に触れた瞬間、なにより「子どもたちの目の輝きが変わることが喜び」だと語る中根さん。環境を守りながら地域も潤す中根さんのその活動は、皆を幸せにしてくれるものだった。

| 前のページ |


| 前のページ |