匠の蔵~words of meister~の放送

日仏食堂 ルンヌ【フランス料理店 宮崎】 匠:田中健治さん
2011年09月10日(土)オンエア
今年4月、宮崎神宮に近い住宅街オープンしたフランス料理店「日仏食堂ルンヌ」のオーナーシェフ、田中健治さん。田中さんは21歳でフランスに渡り、数多くの店で経験を積んだ後に帰国。帰国後も様々な店舗で技術の研鑽に励み、飲食店情報サイト「ぐるなび」が主催する「ぐるなびシェフ BEST OF MENU」で2年連続TOP10に入りするなど、将来を嘱望される若手フレンチのシェフとして注目されている。「この店は日常で楽しめるフレンチを提供したいとオープンしたんですよね。ですから気軽に味わってもらおうと、料理の値段を低価格に設定しています。また、ナイフやフォークに気を取られることなく、料理に集中して貰いたいと考え、箸で食べられるように工夫しています」。自らを「尾崎豊世代ですから」と語り、体制への反骨精神を感じさせる既存のスタイルに捉われないフランス料理を提供する田中さん。そのメニューの中には、日本料理の定番の寿司もあるという。「そもそも三ツ星レストランで醤油が使われるなど、フランス料理は常に新しいモノを取り入れながら進化してきました。こうではならないという概念がないんですよね。日本人はやはり米を食べないと落ち着かないという方が多いですから、米も野菜として捉え、フレンチのアレンジで提供しています」。そんな田中さんは食材をフランスから取り寄せる訳ではなく、その殆どを地元である宮崎で調達。
生産者の想いと客の要望を繋いだ料理を提供すると言う。「食の基本を考えた場合、自分の周りのモノを食べるのが普通ですよね。例えフランス料理であっても、食材はその土地の風土にあった、新鮮モノを使うべきだと思います。そして私は、まずお客さんが望む料理、喜んで頂ける料理を探り、なおかつ生産者の方が、どういったモノをアピールして、どういった風に食べて欲しいのか、どういった味を伝えて欲しいのかというところを繋ぐような作業をしているつもりです。例えば、生産者の方が、このお野菜は、こういう味なんですよ、こういうのが特徴なんですよって言われますよね。一方では、お客さんが、こういうモノを求めている。では、そこに、どのように繋げるのかというのが、僕の仕事だと思っています。宮崎では生産者と近い立場で仕事が出来ますので、せっかくですから、その声をなるべく取り入れた料理を作りたいですよね」。フランス料理といえば、例えば凝った、手を加えたという足し算の料理というイメージが強いが、素材が持つ本来の味を引き出す田中さんの料理は、要らないモノを引いていく、引き算の料理。「レストランは料理がメインではなく、料理とお客さんがメインですから、料理人の技術を大きく出す必要も、料理人が大きく出る必要はありません。そのように考えていったら、段々、シンプルになってきたっていう感じですね」。地産地消を標榜し、生産者の想いと客とを繋ぐ、若きフレンチシェフのフランス料理。それは、フレンチの手法をとりながらも、ここ宮崎でしか味わえない、宮崎の郷土料理とも呼べるモノだった。

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