匠の蔵~words of meister~の放送

北浦漁業協同組合【まき網漁業基地 宮崎】 匠:酒井健志さん
2010年09月04日(土)オンエア
宮崎最大のまき網漁業基地である延岡市北浦町の「北浦漁業協同組合」の酒井健志さん。水揚げが毎年減少傾向をたどる中、この「北浦漁業協同組合」では、「北浦灘アジ」と「ひむかの本サバ」というブランド魚を生み出し、その品質の高さから内閣総理大臣賞を受賞する。ちなみに、「北浦灘アジ」は、1匹あたり100グラム以上で、人が手を触れずに漁協まで持ち帰り、1週間以上生け簀で畜養。その後、一切餌を与えず胃の内容物を除去したマアジのことを指す。こうした条件をクリアした結果、身が引き締まるのと同時に脂が全身に回り、まろやかな味になると言う。「読んで字の如く、味が良いからアジといわれるようになったマアジを、まき網漁法で活きたまま漁獲して畜養するのですが、この時に人が手を触れないというのがポイントです。今、全国各地で多くのブランド魚がありますが、その部分が高鮮度の品質を保つ北浦灘アジの特徴だと思います」。七色に輝くという背と体表のぬめりが鮮度の証という「北浦灘アジ」。その品質管理には一切の妥協がない。「北浦灘アジは天然モノですので、産卵の時期になると身質が悪くなるなど、時期によって状態が違うんですよね。ですから、私たちは、例え基準をクリアしてあっても、品質の低下が見られれば北浦灘アジとしては出荷していません。現在、漁業協同組合に所属する漁師は100何十人いるのですが、その人たちが獲ってきた魚を『お前に任せる』ということで、任せてもらっていますので…そんな漁師たちが波の荒れる中を獲ってきた魚を、自分の妥協で出荷する訳にはいかないですからね。この北浦灘アジは、漁師たちと一緒に苦労して立ち上げたブランドですから、やはりプライドがありますよね」。そんな北浦町の人たちのプライドによって守られている「北浦灘アジ」だが、だからこそ苦労も多いという。「アジをブランド化する上で大事なのは、継続することなんですよね。市場に行って、あるのかないのか分からないモノをお客さんは求めませんよね。しかし、本当に100%天然モノなので、出荷が途切れてしまうこともあるんですよね。そこが一番難しいところですが、逆にある意味、出荷が途切れることが天然の証なのかも知れませんけどね」。安定供給は大事。しかし、それは品質を落としてまで、安定供給をするという意味ではない。「この北浦灘アジは多くの人に愛されていますが、自分の中では、常にこうしたらイイのにという気持ちがあります。しかし、それは北浦灘アジに、まだまだ伸びしろがあるということですからね。ブランド魚ということで、そこに立ち止まるのではなく、ブランド魚だからこそ、さらに進化させていこうと思っています」。まだまだ美味くなる「北浦灘アジ」。その未来は明るい。「いま北浦灘アジは南は鹿児島から北は仙台まで出荷しているのですが、ブランド化したことにより、北浦という町を全国の人々に知ってもらうことが出来ました。しかし、これからは、この味をもっと地元の人たちに味わって欲しいと、宮崎に出荷する量を増やしていこうと考えています。やはり地元の人たちに愛されてこそのブランドですからね」。

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