匠の蔵~words of meister~の放送

寿司源【寿司 大分】 匠:福永守さん
2012年08月11日(土)オンエア
江戸時代には『佐伯の殿様、浦でもつ』と言われ、黒潮が運ぶ豊かな海の恵によって、藩の財政が支えられていた佐伯の地で、寿司を握り続けて半世紀を優に超える『寿司源』の主人、福永守さん。佐伯市では、組合に所属する11軒の寿司店が、それぞれ個性的な寿司を提供しているが、福永さんは、半世紀以上もの間、研鑽を重ねてきた自らの技の粋を込めた創作寿司を提供。『源さんの地魚にぎり』を注文すると、地のネタを使った色とりどりの、食べるのがもったいないほど美しい握り寿司が楽しめる。「他の店と同じ寿司を提供していては意味がありませんので、私がたどり着いた答えが創作寿司だったという訳です。創作寿司は今でこそ、そのように呼ばれていますが、京都の方では昔から細工寿司と呼ばれ、日本の食文化の粋が、その中に詰め込まれていました。私の場合は10貫の中に1貫か2貫、そんな創作寿司を入れて、地の魚の味がストレートに味わえるスタンダードな寿司と一緒に、お客様に楽しんで頂いています」。そんな福永さんの握る創作寿司にはルールがある。「よくお客様にもお話しするのですが、私が創作寿司を作るに当たって、一番大事にしていることは、いくらキレイでも美味しくなかったら駄目だということです。よく海苔を何枚も重ねて作った、巻き物の創作寿司を見ることがありますが、あれでは口の中に入れた時に、歯で切れないなど色々な問題があります。見た目には良いかも知れませんが、あくまでも食べ物ですから、味をおろそかにしてはいけません。寿司は、やはり見た目がキレイで、鮮度が良くて、食べて美味しくてという3つが揃わないといけないと思います」。そう語る福永さんは、以前、アラブ首長国連邦のドバイで、在ドバイ日本領事館が開いたパーティーにも参加。寿司の保存技術も確立し、寿司を通じて日本の食文化を伝えたいと海外でも精力的に活動を展開する。その時に作った、イカやウニで創った錦鯉が泳ぐ日本庭園の大作は、圧巻の一言。もちろん、その味も世界中の食通から絶賛されたという。「寿司屋になって、今年で57年になりますが、寿司は大好物、大好きです。ですから新しいネタが入った時には、まず私が食べてみます。そして、あ〜これならイイと私が納得してから、お客様にお出ししています。本当に寿司が大好きですからね」。その熱意の裏には寿司への並々ならぬ愛情があった。

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