匠の蔵~words of meister~の放送

薩摩じねんや【菓子製造 鹿児島】 匠:小牧昭二さん
2012年08月18日(土)オンエア
鹿児島の自然の中で育まれた地元の素材にこだわる菓子製造会社『薩摩じねんや』の代表、小牧昭二さん。小牧さんは約2年前に、喜界島産の黒蜜をたっぷりと練りこんだ生地で、上品な甘さの小豆餡を包んで揚げた『花林糖饅頭・口笑口笑(かりんとうまんじゅう・しょうしょう)』を開発。外はサクッと、中はしっとりとした不思議な食感と、どこか懐かしさを感じさせる味わいが特徴で、鹿児島空港では、CIのお薦めスィーツみやげ部門でNO.1にも選ばれるなど、鹿児島の新しい定番土産として、いま話題となっている。「鹿児島は黒糖の名産地なんですが、従業員の中に喜界島の出身者がいて、そこの黒糖を取り寄せたところ、すごく味が良かったんですよね。そして、日本で一番売れている饅頭は黒糖饅頭ということで、その喜界島の黒糖を使った黒糖饅頭を油で揚げてみようと考えたことが、ことの始まりだったんですよね。鹿児島は『さつま揚げ』が名産品としてあるように、揚げるのが大好きな県民ですからね。すると試食した人々から『これはすごい』という反応を頂き、商品化したという訳です」。そんな『花林糖饅頭』のシリーズは3種類。小豆餡を使った『口笑口笑』の他、練乳餡を使った『上々饅頭』、黒胡麻餡を使った『ごまくろ』と、それぞれの味わいが人気を博している。「目指したのは先人たちが作った歴史ある和菓子に、新しい時代の付加価値を付けることが出来ないかということです。私たちの会社は老舗とは違いますから、そのように常に商品開発に力を注いでいかなければならないんですよね。昔は一品、ヒット商品を作れば、安泰という時代でしたが、もはやそういう時代ではなくなったと思います。最近はコンビニなどのスィーツも充実していますし、商品のサイクルがすごく短いんですよね。ですから、ホームランを打つ商品もあれば、シングルヒットを打つ商品もある中で、シングルヒットでも3品あるとホームランと同じ価値を生むということを考えながら、『花林糖饅頭』のヒットに甘んじることなく、次の、またその次の商品を常に頭の中に描いています」。遊び心を忘れずに、しかし、先人たちの想いを受け継ぎながら、商品開発に取り組む小牧さんが何より恐れるのは、チャレンジして失敗することではなく、現状に満足して何もしないこと。そうした日々のチャレンジの中で、口に笑うと書く『花林糖饅頭』の商品名の如く、小牧さんは多くの人の口を笑わせる特大のホームランをかっ飛ばした。「やはり我々の先には常にお客様がいますので、そのお客様の声を参考にした商品作りを大切にしたいと思っています。そして、当然、そこに絶対に妥協しないということですよね」。『一菓入魂』そんな言葉を心に留め置きながら、小牧さんは今日も新しいお菓子のことを思い描いている。

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