匠の蔵~words of meister~の放送

大嶌工芸 [福岡 貴金属装身具] 匠:大嶌政隆さん
2006年09月09日(土)オンエア
福岡は博多の貴金属、宝石細工職人、「大嶌工芸」の大嶌政隆さん。「現代の名工」にも選ばれた、その確かな腕で、およそ半世紀もの間、数々の指輪やアクセサリーを生み出してきた大嶌さんは、1991年、1級技能士が技を競う大会の貴金属装身具部門で、全国2位に輝いた実績を持つ。彫刻、石止め、磨きと分業が主体になりつつある業界で、すべて一人でこなす技術が高い評価を受けている大嶌さんだが、その技術を会得する為には、やはり大変な努力があった。「昔の職人は、技術を教えてくれないんですよ。ですから目で見て盗む。そして、作品を見せても良いと言ってくれないんですよね。でも、努力を重ねれば、駄目だとも言われなくなるんです。そうなると、後は自分で判断するしかないんですよね」。そんな大嶌さんは、5年ごとのスケジュールを立てて仕事を行ってきたそうだ。「短い目標よりも長い目標を立てる。その方が困難な事にチャレンジ出来るでしょ。そうやって、その目標をクリアしながら今までやって来ましたね」。看板を出していない大嶌さんの仕事は、ジュエリーショップからの受注が殆どだと言う。それでも口コミで、大嶌さんの元を訪ねてくる人もいるそうだ。そんな時、大嶌さんは、宝石が持つ本当の価値について話をするそうだ。そして、それは大嶌さんの仕事の信条でもあった。「宝石というのはですね、高いものじゃないと指輪は出来ないとか、そうじゃなくて、例えば、お客様の形見とか、お土産で貰ったとか、そういモノでも自分が、宝石と思えば、それで良いんですよ。私はそんな風にお客様に言っています。お宅が大事であれば、これはピシっと、これで作った方が良いですよと、お客様の気持ちを見て作ります。そして、大事にして下さいと、タンスに入れんでドンドン使って下さいと、何かあったら、直ぐ持って来て下さいと」。本当の宝物とは、それを持つ人の気持ち…心の中にある。大嶌さんは、お金では買えないものがある事を改めて教えてくれた。

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