匠の蔵~words of meister~の放送

山城紅茶【紅茶 沖縄】 匠:山城直人さん
2009年10月03日(土)オンエア
沖縄県で唯一の100%県産紅茶を、「農業は大地の恵み」と考え、循環型農業を追求し無農薬で栽培、手摘みで生産する農園「山城農園」の山城直人さん。現在32歳の山城さんは、緑茶専門農家の三代目として生まれたが、太陽の紫外線の強い沖縄は、その気候風土が日本一紅茶作りに適している土地だという事を知り、静岡で修行後、2007年に紅茶専用農園として法人化する。「僕の年代というのは農業をやる人が殆どいません。僕の場合は祖父や親父が緑茶農園を経営していたので、基礎はしっかりしている状態でしたから、皆が農業をやらないのなら自分が農業を行えば、一人勝ちするのではないかと思ったんですよね。人と同じことをしていたら、やりやすいのかも知れませんが、ライバルが多い。しかし、人がやってない事をやればこれはオイシイと。その考え方は紅茶作りに対しても同じで、人と同じ事はやらないという事は常に頭の中にありますね」。そんな山城さんは、現在、味と香りが異なる4種類のタイプの紅茶を販売する。「紅茶というのは普通、外国の紅茶の葉を自分の所の紅茶の葉に混ぜて、味の違いを出す所が多いのですが、僕たちの場合は、100%国産のもの、いわゆる沖縄産のものにこだわっているので、1種類の紅茶の葉を使い、その加工の方法で味を変えています。1種類の紅茶の葉からは、1種類の味しか出せないと思っている方が多いのですが、加工の工程を変えれば味も変わるんですよね。これまで1000パターンくらいの加工方法を研究し、それで現在は4種類の味に振り分けています」。山城さんの作る紅茶のパッケージには、可愛らしいアニメが描かれている。「紅茶は飲んで美味しいのは当たり前です。喫茶の基本は楽しむ事ですから、それを楽しんでもらおうとアニメを使っています。お客さんが、4種類のどの紅茶を飲んだのか分かりやすくする為にも、パッケージのデザインで覚えてもらおうと、そのアニメも漫画みたいにストーリーになっているんですよね」。ティータイムではないが、紅茶というと少しお洒落でスマしたイメージがある。地理的条件や製法を追求しながら、片方でアニメをパッケージに使うなど、既成概念にとらわれる事なく、格好つけずにフレンドリーで親しみやすい形で世に送り出す。まさに沖縄的な発信の仕方に思える。「沖縄は元気なお年寄りが多いですから、その人たちが働かないのはもったいないと思い、農作業を手伝ってもらっています。地元の沖縄にどれくらい貢献できるか分かりませんが、将来はその農園にカフェを併設し、茶摘み体験が出来るようにするなど、沖縄がさらに人が集まる場所にしたいと思っています」。大いに夢を語り努力する山城さんの座右の銘は、かのクラーク教授の言葉「少年よ大志を抱け...」であった。

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