匠の蔵~words of meister~の放送

アンジェミチコ [チョコレート 熊本] 匠:岡田美智子さん
2008年09月27日(土)オンエア
熊本で評判のチョコレートショップ「アンジェミチコ」のショコラティエ・岡田美智子さん。厳選した世界最高品種のカカオ豆を使い、一つ一つ手作りされる岡田さんのチョコレートは、フランス映画「ショコラ」の主人公マヤのように、多くの人の暮らしを豊かに彩る。「私達の仕事というのは、人間のヒダの部分に訴えるものですよね。チョコレートを食べて感じる幸せは、どれのどこがそういう風に感じるのか具体的に表現できません。そんな見えない所を開拓して試行錯誤を重ねるというのが、この仕事の醍醐味だと思います」。そんな岡田さんだが、元々はショコラティエとしてではなく、調理人の世界を目指し、この世界に足を踏み入れたそうだ。「ヨーロッパの職人というのは、パンを10年、お菓子を10年と、専門的な修行を経て、一流の料理人に育っていきます。私もそのスタイルを踏襲し、これまで日本とヨーロッパで修行を積んで来ました。でも、30代の時に出会ったフランスのシェフが作るチョコレートに感動し、以来、ショコラティエとしての活動が長くなってしまったんですよね。その時にシェフから教えて貰ったメモは今でも大切に取っていますよ」。たった一粒のチョコレートが、一人の人間のヒダの部分を震わせ、その人生までも変えてしまう。しかし、だからこそチョコレートの世界は奥が深く、さらに修行の年数を必要とする。「うわべだけをなぞり、売れるモノだけを売って仕事をするという器用な方もいらっしゃいます。でも、私は良いモノとか悪いモノとかに関わらず、全てを見たいタイプなんですよね。カカオ豆一つにしても、業者さんのメッセージやパンフレットを参考に選ぶのではなく、自分の目で見たモノを、自分で選んで、自分が使いたいんですよね。ですから修行の時間もどうしても長くなります。自分で判断すると言う事は、間違えた場合、そのリスクも自分で払う訳ですからね」。華やかに見える洋菓子の世界だが、岡田さんの考えは、古くて、職人臭くて、頑固だ。しかし、だからこそ信用出来る。そう、人の心を動かす事が出来る。「チョコレートなんか要らないと言えば、要らないものなんですよね。これが無いと死ぬという訳でもないし、そういう意味では音楽と一緒ですよね。でも、これが無いと死ぬという訳でもないけど、あったら、すごい豊かよねっていう事ですよね」。

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