匠の蔵~words of meister~の放送

江島万年筆店 [佐賀 万年筆] 匠:江島満さん
2007年09月29日(土)オンエア
佐賀市にある全国でも数少ない万年筆専門店「江島万年筆店」。店内には「ウォーターマン」「モンブラン」「ペリカン」「パイロット」など、世界各国のブランドが並び、二代目の江島満さんが、万年筆選びの助言から販売、修理まで一手に引き受ける。江島さんは、「今の時代、アナログな万年筆は古いと思われるかもしれませんが、新しい人には、新しい存在なんですよ」と言う。確かに手書きの良さが見直されている今、万年筆はその代表的なツールとして注目されているそうだ。そんな江島さんは、「ペン屋の仕事は人に合うペンを選ぶ事」という想いから対面販売にこだわりを持っていた。「自分の手に合うペンというのは、やはり一度手に持って頂かないと分からないんですよね。手と言うのはどんな精密機械にも負けないセンサーですからね。だから私が、直接お客さんと対面しないと分からない。よく『江島さんは、何でインターネット販売をしないの』って聞かれるけど、私は『アナログを売っているんですよ』って答えるんです。私の仕事は、日本全国を相手にするものではないんですよね。お客さんの手に合ったペンを選ばないと、本当にペンを売った事にはならないんです。そして、そうやってペンを選んで頂くと、365日、毎日使っても20年は使えるんですよ」と言う。時代は今、大量消費から、やはり良いモノを選び、メンテナンスをし、長く使うようになって来た。時代が江島さんに追いついたとも言えるが、江島さんはそんな事に関係なく、ただペン屋として本分を忘れずに仕事をしてきただけなのだろう。「良いペンとの出会いは、ちょうど理想の女性に出会ったような感動があるんです。お客さんに『あっこれは素敵だ』って思って頂くって事が喜びですね。この人にピッタリのペンを選んで差し上げられたという喜びですよ」。まさに人とペンとの仲人をしている江島さん。しかし、江島さんの仕事はそれだけではない。長年、持ち主から愛されてきたペンには、修理が必要となる場合もある。「修理に持ち込まれたペンには、持ち主の様々な想いが詰っているんです。もう使えないと諦めていたものに、もう一度命を吹き込んだ時、思い出も一緒に生き返る気がするんですよね。ですから、私の仕事はペンを売ってからが本当のスタートなのかも知れませんね」。最後に江島さんは、「私にはペンを通じて知り合った仲間が沢山いるんです。そんなお客さんとよく飲みに行ってるんですよ。いくらペンは時代遅れと言われようとも、必要としてくれる人がいる限り辞められません」とにこやかに話してくれた。

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