昭和39年にエノハ(ヤマメ)の養殖に成功し、昭和50年に宮崎の五ヶ瀬で開業した「えのはの家」。その店の主人、秋本治さんは、山歩きや化石採集などを通じて、自然と触れ合う事をとても大切にしている人物だ。秋本さんは、自然と触れ合う中で新しい発見があったという話をしてくれた。「標高1300メートル以上の大部分に群生する、霧立山桜という霧立地方の固有の桜があるんですが、これは最近発見されて名前が付けられた桜なんです。しかし本当は昔からあった桜なんです。私がその内の1本だけ見た時に、あの桜は、どうも違うと思ったんですよね。そして、その桜がどういう特徴があるのか調べ違いが分かったら、一目見た時に、みんな分かるようになったんですよ。それから今、ハッキリ名前の分からない巻貝の化石もそうです。化石が一杯ある上を何度も行ったり来たりして、気付かなかったんです。休憩している時に足元にある岩を見て、これ何か面白い模様やな〜って、じ〜と見ていたら巻貝に見えたんです。するとアソコにもココにもという具合に見えるようになったんです。ですから、物事は関心を持たないと、いろんな現象が起きてても分からないという気がしますね。」普段、当たり前だと思っている事が意外と特別である事もある。周りにある物や事柄に、ちょっと注意してみる。難しいことでなくとも、そんなモノたちは、私達の生活や仕事の中で、発見されるのを待っているかも知れない。
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