匠の蔵~words of meister~の放送

オーベルジュ まつむら【フランス料理 福岡】 匠:松村隆さん
2009年10月17日(土)オンエア
宗像市の自然に包まれたオーベルジュで、本格的なフランス料理を提供する「オーベルジュ まつむら」の松村隆さん。築100年の歴史を刻む古民家を、和洋折衷に改装した癒しの空間で客をもてなす松村さんは、長年、ヨーロッパの一流ホテルのシェフとして活躍し、帰国後はハイアットリージェンシー福岡の総料理長も勤めたという経歴を持つ。「総料理長という役職を15年位務めたのですが、その仕事は料理以外の総合的な事も求められる為、殆どデスクワークになるんですよね。やはり私は料理が好きですから、『よし最後はもう一度、自分で料理を作ってお客様にお出ししよう』という想いで、55歳で独立したんです」。街灯もなく夜には周りが真っ暗となる大自然の中、地元の人たちにも喜んで貰いたいという願いを込めてフランス料理を作る松村さん。その料理には地元の新鮮野菜をはじめ、鐘崎漁港から直接仕入れた鮮魚などの旬の食材が使用されている。「魚を使いたいのであれば当然、中央市場に行けば揃うと思うんのですが、地元の人がその日に獲って来た魚を使うのが一番新鮮ですよね。野菜も市場を通さずに直接農家さんから買えば、朝採った野菜が昼に来る場合もありますからね。そういう意味では、すごく食材には恵まれていますよね」。そんな松村さんは、この土地ならでなのものは食材だけではないと言う。「ここにいらっしゃるお客様は、50代が若い位なんですよね。先日も99歳という方がお見えになったのですが、3500円のランチをキレイに残さず食べていかれました。そういうお客様は、多分、ホテルにまでわざわざ行かれる方ではないと思うんですよね。『あそこにフランス料理店みたいなのが出来たよ〜』と、『だったら、ちょっと食べに言ってみようかね〜』という感じで来て下さると思うんです。喜んで頂ければ、それが直接自分に返って来るというか、やはり『冥土の土産に本当に良かった』と言われた時には嬉しかったですね。そういう方が、月に一度はいらっしゃいますね」。洗練されたシェフ・スタイルで、最後に選んだ料理人としての喜びに満ち溢れた日々を送る松村さん。その料理の原点はもちろんフランスにある。「それぞれの料理人の考え方だとは思うのですが、私は、やはり基本的なフランス人がやっているフランス料理を学びたいと思い、ヨーロッパへと渡ったんですよね。外国で習った日本料理を、『これが日本料理です』とはっきり言えるかどうかは疑問ですよね。フランス料理でしたら、もちろんフランスですから、私は行ってみたいと...原書といいますか、そこを見たいと思ったんですよね」。基本に忠実に料理しようが、しなかろうが、ルーツを学んだ人間と学んでない人間とは違う。イタリアンでもフレンチでも、流行ればルーツなど関係ないように思えるが、そもそもルーツがないと創作料理など出来得るはずがない。やはり松村さんのフランス料理は信頼できる。

| 前のページ |


| 前のページ |