匠の蔵~words of meister~の放送

伊万里ロジエ [喫茶店 佐賀] 匠:山口義方さん
2008年10月11日(土)オンエア
伊万里商店街に唯一残る、古き良き昭和の風情が残る喫茶店「伊万里ロジエ」のマスター、山口義方さん。伊万里・有田の古陶磁や伊万里にゆかりのある絵画などのアンティークを店内に飾り、白のカッターシャツに蝶ネクタイ姿で客を迎え入れる。そんな山口さんの店の名物は、年代物の伊万里焼の皿で提供される伊万里牛を使用したハンバーグ。昨年5月、伊万里の名産を生み出そうと「伊万里の食を豊かに実行委員会」によって考案され、現在、伊万里にある十数軒の店で味わえるそうだ。「やはりソースや焼加減など各店で違いがあります。私の店では、伊万里牛の肉に玉葱のみを混ぜ、卵や牛乳、パン粉などのつなぎを入れていません。ですから割れないように焼くのに技術が必要です。それと作り置きをせず、注文を頂いてから丸めて焼くので、少し時間がかかります」。伊万里牛の美味しさを堪能してもらいたいから、作りたては何でも美味しいからと、シンプルな考えから生み出されるその味は、多少の待ち時間など気にならない。「お客様がせっかく来られたのに、やはり『不味かった』とか言われたらどうしようもないですから、作りたてを基本にしています。それと、他所はレストランという形ですから、メイン料理はハンバーグだけではありません。しかし、私の店の場合は、ハンバーグだけで最後まで満足して頂けたらと思い、昔と比べて、かなりメニューを減らしたんですよね。『どれをとっても、あまり大した事がない』と言われるよりも、『これは美味しい』と言われるものだけを出すと言う事が、店の個性にも繋がると思うんですよね。そして、そんな個性が認められて、今まで店が続けられていると思っています」。利口になるという事は、何が出来るかが分かるのではなく、
出来ない事を知っていく事と聞いた事がある。これと決めて、その一点にひたむきに打ち込む。そんな姿に人の心は動かされる。「『昔、来た事があるような落ち着くお店ですね』と、よく初めて来られた方に言われます。古いからですよね。人間も古いですからね。ですが、そんな昔ながらの喫茶店が残っていてもいいと私は思うんです」。

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