匠の蔵~words of meister~の放送

ガラス作家 島田真平【ガラス 熊本】 匠:島田真平さん
2010年10月23日(土)オンエア
島田美術館の中に工房を構える熊本の若手ガラス作家、島田新平さん。ガラスの持つ特性を最大限に生かしたモノ作りを心がけ、無理のないベーシックな形でクオリティの高い作品を生み出している。100種類以上の色が使い分けられた、その作品たちに光を当てると、鮮やかな美しい表情を壁やテーブルに映し出す。「自分の周りに置きたいモノを作りたい。ですから、自分の要らないものは作りたくないという想いで作品を制作しています。ガラスは、ただそこに置いておくだけで、外の光を取り込んで、自らが光っているように見せますよね。そんな効果が起きる、そんな力を持った素材なんですよね。でうから、そういったガラスの基本的な効果や性質などを上手に使ったモノが好きですね」。
シンプルに作ってもシンプルにならないガラスの本質を見抜き、装飾を出来るだけ排除する島田さんは、「シンプルな作品で同業者をアッと言わせたい。自分が他の素晴らしい作品と出会った時に、シンプルであればシンプルであるほど、悔しいですからね」と笑う。「比較的にガラス作品は、要らないモノは付いていない方が使いやすいですよね。そして、装飾を施さなくても綺麗ですからね。僕が色々と教えてったガラス作家の先輩に言われたのが、『ガラスは触るほど汚れるからね』っていう言葉だったんですよね。『触るほど汚れるけど、触らないと形は変わらない。触っていないように作っていくもんだ』と。僕もいま、そう思います。自然にできたようなモノを作りたい。でも、ちゃんと力は注がれたモノ。そういう考え方で作品を作っています」。どんなモノでも自信のない人ほど、アレやコレやとゴチャゴチャさせたがる…。ガラスがなりたかった形を見つけ、その形に自然になったように魅せる島田さんの技術。そんな卓越した技術から生み出されたガラスたちは、どれも一点の曇りもなく、透き通る光を放っていた。

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