全国一の規模を誇る照葉樹林で知られる緑豊かな町・綾町にある「薬膳茶房 オーガニックごうだ」の郷田美紀子さん。「健康な野菜を作る為には肥料が大事であるのと同じく、健康な体を作る為には毎日の食事が大事です」と、薬剤師でありながら自らも農業を営み、安心・安全を考えた日本人の正しい食事を提供している。「27年前に薬局の隣に食事処をオープンした時は、何故、薬剤師が食事を提供するのかと多くの人から聞かれました。しかし、人を健康にするのが薬剤師の仕事なら、その源である食事を指導するのは、特別な事ではなく当たり前の事だと思います。私は薬を処方するだけの薬剤師にはなりたくなかったんですよね。食事を指導する事によって、薬を必要としない人が増える方が素晴らしい事ですからね」。そんな郷田さんは、食や環境ついて語る講演や「綾の自然と文化を考える会」の代表としても活躍しているそうだ。「食の基本を語る場合、やはり他の命が生きられる環境作りが何よりも大切だと話しています。空気も水も含めて、他の命がしっかりと生きられる場を見つめた時に、初めて安心・安全な食も手に入れる事が出来るんです。ですから、やはり食の原点は、きれいごとではなく環境問題だと思います。他の命を追いやって、何が人間が長生きしたいなんて、それは違うでしょうって思いますよね」。生き物に優しい環境は人にも良い。緑、水、空気、郷田さんの元気の源である日本の田舎の理想郷、綾の森は、美しく優しい。「この命の見える生産する場所で、そこに住む人たちが、環境問題を発信しなかったら、都会に住む人たちに伝わるはずがないと思うんですよね。ですから田舎が優しくなれば、もっともっと日本中が優しくなると思います」。そんな郷田さんは、人間を「ヒト科のヒト」と呼び、この地球上で、「ヒト科のヒトは特別なものではない」と言う。「感謝の心と畏敬の念を持ち、他の生き物と接する。すべてが平等だという気持ちがないと、本当に人間が地球を駄目にして、自分達自身を苦しめていく事になると思います」。。
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