匠の蔵~words of meister~の放送

長崎人力車 俥屋[長崎 人力車] 匠:岡田敏治さん
2005年09月24日(土)オンエア
 明治の長崎を舞台にした映画「長崎ぶらぶら節」。そのワンシーン、吉永小百合を乗せて走る車夫こそが、岡田敏治さんである。「25歳のとき、仲間と『俥屋』というグループを作りました。飲食店やら内装業やら、いろいろやりましたよ。それで、なんとなく『人力車しよう』って。どうにかなるさと軽い気持ちで始めたんやけど」。こうして昭和51年10月10日、『長崎人力車 俥屋』はスタートを切った。ところが、閑古鳥は鳴くばかり。そうするうちに仲間は一人抜け、二人抜け……。  翌年、町を雪が真っ白に染めた元旦。ふらりと眼鏡橋へ行ってみると、一人の老婦人が立っていた。「あんたを待っとったとばい」。岡田さんは言う。「人力車を必要としてくれる人がいるとわかったんですよ。それからはいろいろとアイデアを練って、駆け回りました」。評判が評判を呼び、この風流な乗り物は、長崎の観光業界に無くてはならない存在となった。  岡田さんは現在、主に全国各地から依頼された人力車の修理や、組立を手がけている。「もうすぐ、すごくいいのが完成しますよ」。にこやかに語るその顔には、人力車への愛着があふれるほどに滲み出ていた。

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