匠の蔵~words of meister~の放送

カネモ鰹節店 [鹿児島  鰹節 ] 匠:立石雄二さん
2005年10月01日(土)オンエア
枕崎の街に足を踏み入れた途端、魚の良い香りする。ここ鹿児島の枕崎には、名物の鰹節を製造している業者が、およそ70軒もあるそうだ。その中でも「鰹節の原点は本節にある」と、1本1本、本節を作り続けている「カネモ鰹節店」の立石雄二さん。そのこだわりは、「最初から最後まで、とにかく自分の目の届くような品物を作りたい」という事だった。鰹節の出来る工程を簡単に説明すると、まず、今の時代は、殆どの鰹が冷凍で水揚げされる為、前日に次の日に使う鰹を解凍する作業から始まる。水を2〜3回替えると、次の日にちょうど良い生の状態になるそうだ。そして、5枚におろした鰹を煮る。煮上がると骨抜きを行う。そして鰹のすり身を骨抜きした部分に塗り込みキレイな状態にする。そこから乾燥させる作業に入る訳だが、その工程は何段階にも分かれている。乾燥した鰹をキレイに削り、カビ付けの作業を行い、やっと鰹節が出来上がるそうだ。その間約4カ月の期間を要する。立石さんは、そんな鰹節作りの中で大事にしている事を次のように話してくれた。「モノが良ければ、大概、誰が作ってもって言ったら悪いですけど、まあちゃんと作れば、ちゃんとした品物になるんですよ。早く出来れば、その分、沢山出荷出来るのですが、私のやり方はちょっとですね。時間が掛かり過ぎるんですね。手間ばっかり掛かってしうまうんですね。でも人よりちょっと時間を掛けるっていうのがこだわりって言いますかね」。立石さんは、ズバリ、時間が良いモノを作るという事を教えてくれた。今や何より貴重なヒトの時間を費やす事が、味を生み、こだわりを生む。「日本の台所で一番最初に無くなったのが、鰹節を削るカンナなんだそうですよ。でも最近は少しずつ復活してきているんです」。本物を求める、こだわりを持った消費者の数が増えている事を、立石さんは嬉しそうに語ってくれた。「カネモ鰹節店」の風味豊かな鰹節を味わう為には、私達にもほんのちょっとの努力が必要だ。

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