匠の蔵~words of meister~の放送

ユートピアファーム宮古島【観光農園 沖縄】 匠:上地登さん
2014年03月15日(土)オンエア
宮古島の人気スポットとして知られる観光農園『ユートピアファーム宮古島』の代表、上地登さん。『人に感動を与える農業』を目指し、広大な敷地に世界50品種のブーゲンビレアやハイビスカス、さらにマンゴーやパパイヤなどの果実を展示栽培する。
「僕の農業の原点は、高校の入学式の会場に飾ってあったブーゲンビレアなんですよ。その時、宮古島にこんな美しい花があるのかと感動し、宮古島を世界中のブーゲンビレアで埋め尽くしたいという夢を描くようになったんですよね」。しかし、当時は「農業で飯は食えない、愚か者が農業をやる」と言われていた時代。それでも上地さんは、その言葉に反発するように農業に取り組み始めたという。
「僕は農業が大好きなんですよ。ですから僕自身が農業を楽しみたい。そして、多くの人にそんな農業の楽しさを知って欲しいんですよ」。そうして21歳の頃に農業を始め、今年で35年になるという上地さん。その間、台風による被害など、様々な苦労を乗り越えながら、ついに5年前、農業と観光を結びつける先駆的な事業である観光農園を開園することに。
「観光農園を開園することができたのは、喜びも悲しみも常に畑と共有しつつ歩んできた結果だと思っています。僕一人では挫折していたかも知れませんが、家族全員が同じ方向を向いて歩んできましたので、現金はありませんでしたが、それを苦労と思ったことはありませんでしたね」。この先は、娘夫婦と次男が農園を継ぐ予定だと目を細める上地さん。その農業にかける情熱、愛情は、上地さんの農園の姿を見れば分かる。
「例えば、きれいなマンゴー園で栽培されているマンゴーは、間違いなく美味しいんですよね。それはどんな素人が見ても分かります。見た目と味は正比例しているんですよね。農業の原点は育て方にあって、一生懸命に取り組んでいる人の農園は全体が調和されていて、本当にきれいなんですよ。草がボ〜ボ〜と生えている農園できれいなマンゴーは育ちませんよね。そして、そんな草の陰に隠れているマンゴーも『俺は頑張ってるぞ〜。美味いだろ〜』とは言えないですよね。やはりきれいに太陽が当たって、実が輝き、葉っぱも青々と育っているマンゴーの方が美味しいし、その味も食べる人の胸に響きますよね」。子どもの頃、勉強のできる人は机もキレイだと、よく叱られたが、同じように農園を見ると、そこに育つマンゴーの味が分かる。何故なら、それは生産者の農業にかける想い、愛情のバロメーターなのだから。
「農業における技というのは、生産者の想いを花や果実に込めることだと思います。それは機械で測れたり、数字に表れたりするモノではありませんが、私は常に花や果実に愛情を込めて、一つひとつを一生懸命に育てています。たまにフラれることもありますけどね」。そんな上地さんの農園は、まるで南国、宮古島の景色が凝縮されたような美しい姿で、訪れる人々を出迎えていた。

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