匠の蔵~words of meister~の放送

赤牛生産者【赤牛生産者 熊本】 匠:井信行さん
2009年03月14日(土)オンエア
熊本・阿蘇山系の産山の麓で、赤牛を飼育する生産農家・井信行さん。脂のサシの多さで等級が決まる牛肉の世界では、A−5ランクとされる松阪牛などに比べ、A−2ランク程度の赤牛だが、健康的な肉本来の旨さが味わえると見直され、近年では、湯布院の高級旅館や東京の高級料亭などからも注文が入るそうだ。「私が目指しているのは、阿蘇の自然を最大限に生かした牛肉作りです。今の畜産の世界ではサシを増やす為に、牛が本来食べない穀物飼料を与えて太らせています。しかし、赤牛は牛が本来食べている阿蘇の牧草を食べるので、内臓がしっかりした健康的な牛が育ちます。そして、健康的な牛からは安全な牛肉が生まれるという訳です。しかも、豊かな自然を誇る阿蘇での畜産は、コストが安くすむし飼育技術もそれほど必要ありません。これは凄い事だと思うのです。ですから、阿蘇は日本の安く生産出来る肉用牛の基地だという思いが私にある訳です」。井さんが実践するように、本来食べるべき草を食べ育った牛の方が、牛本来の味がする筈である。しかも阿蘇のエネルギーを栄養とする牛は自然の摂理通りに育つに違いない。自然の摂理に逆らわず、それを最大限に生かしている井さんは、畜産を育てる事は、阿蘇の自然を守る事にも繋がると言う。「牧草を食べる赤牛の数が増えると、食べた草が堆肥となって循環されるので、阿蘇の草原が守られます。しかし、その為には、まず阿蘇の人たちが、この場所に住んでいる事に自信を持ち、元気に暮らす事です。そうすれば阿蘇が活性化し、畜産も元気になり、自然も守られていくと思います。まずは人が元気になれる環境を作る事です」。現在は畜産振興を柱に様々な活動を行い、有識者とも毎日のように激論を交わしているという井さん。その言葉からは、阿蘇の誰よりも元気に暮らしている姿が伺えた。

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