匠の蔵~words of meister~の放送

中島温泉旅館【旅館 鹿児島】 匠:中島真由美さん
2012年10月20日(土)オンエア
日本三大砂丘に数えられる吹上浜から程近い、豊かな自然の中に佇む老舗純和風旅館『中島温泉旅館』の女将、中島真由美さん。『中島温泉旅館』の天然かけ流しの湯は、明治時代には西郷隆盛も訪れたという由緒ある名湯で、中島さんは、江戸時代後期に島津公から譲り受けた4代目の当主と二人三脚で、客をもてなしている。「以前は鹿児島市内の病院で看護師としてICUなどを担当していたのですが、4代目の主人と結婚したのを機に看護師から若女将となりました。何も分からない中、出産から子育て、家事をしながらの旅館の仕事は大変でしたが、私は人が大好きなんでしょうね。日々、お客様と接し、喜んでくれるお客様の言葉を励みに、ここまで15年間、頑張って来られたと思います。もともと島津忠良(日新公)の殿湯だった吹上浜温泉は、約450年前に馬が発見したといういわれがあるのですが、由緒あるが故に訪ねて下さるお客様も多い為、そのような歴史の勉強にも励んでいます」。そんな中島さんは、「自分たちだけの空間に浸って欲しい」と、オリジナリティ溢れる様々なサービスを客に提供。県内外から訪れる多くのリピーターを獲得することに成功する。「宿泊のお客様には、一組に『くつろぎの部屋』『食事の部屋』『布団の部屋』と3部屋を提供し、私どもがお客様の部屋に必要以上に立ち入って気を使わせることがないように、お客様だけの空間でお過ごし頂けるように心がけています。それは自分たちが他の旅館に泊まりに行った時に感じた『布団をひきますので、ちょっと』という煩わしさや気を使わせることがないようにと始めたことなんですよね」。しかし、その為には旅館に迎え入れる客の数も限られてくる。「私どもの旅館では1日3組限定とさせて頂いています。もちろん、多くのお客様を迎え入れた方が効率は良いのかも知れませんが、それでは、私たちがお客様に提供したいサービスを実現させることが出来ませんからね」。求めるのは効率よりも客の居心地の良さ。しかし、その姿勢がリピーターを呼び、効率的に客を呼び込むことを中島さんは知っている。「私たちは常にお客様の立場に立ったサービスを探求しています。それは言い換えれば、自分がされたら嬉しいサービスというモノですよね。常にそのようなに考え、探し続けているという感じですね」。その旅館を訪れるリピーターたちは口々に、『ただいま』という言葉を中島さんにかける。また、新しく訪れた客は口々に『ほっとするね』と中島さんに話しかけてくる。それは、程よい距離感を保ちつつ客に最良のサービスを提供する『中島温泉』ならではのエピソードだった。

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