創業86年を誇る、長崎では希少なフグ料理専門店「ふぐ割烹 新富」のオーナー、堤新一さん。フグと言えば、山口・下関が有名だが、実は長崎のフグの漁獲量は、天然640トン、養殖2300トンと全国一。取扱量が全国一の下関のフグの7割は、長崎から送られていると言う。「長崎は豊富な魚介類が獲れる土地の為、フグにスポットが当たって来なかったんですよね。ですからフグの漁獲量が全国一という現実を長崎の人も知らず、笑い話のようですが、長崎からわざわざ下関までフグを食べに行く人が多いんですよね」。そんな「新富」では、落ち着いた雰囲気の店内で、地元のフグで調理できる利点を活かし、1年を通して鮮度抜群のフグを丹精込めたオリジナルのポン酢で提供。「一人でも多くの地元の人たちにフグを知って欲しい、味わって欲しい」との堤さんの願いが込められたフグ料理を、リーズナブルな価格で味わうことが出来る。「料理店は、お客様を満足させるという使命がありますが、私はお客様に満足して頂く為には、やはり、お腹一杯にさせてあげないとダメだと思うんですよね。高価なフグ料理では、お腹一杯になれないという定説があるのですが、私はそれを覆したいと思い、値段をリーズナブルに設定し、最後はお客様が『食べきれない』とおっしゃるぐらいにしています。現実に、最後の雑炊、デザートまで食べて頂くと、今までのお客様は、『お腹一杯になったよ〜』と、完璧に満足して下さいますからね」。料理というと、どうしても味ばかりに目がいきがちだけが、その味はもちろん、お腹も満足させてくれる堤さんのフグ料理。それは堤さんの温かい人柄同様、食べた人を笑顔にさせる長崎のご馳走だった。「誠心誠意、この言葉通り真面目に、お客様に長崎のフグは美味しいと言ってもらえるように、これからも頑張っていこうと思います」。
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