匠の蔵~words of meister~の放送

やまいも園【自然薯 鹿児島】 匠:福永健一さん
2010年11月20日(土)オンエア
良質な自然薯が育つことで知られる鹿児島で、天然に劣らない強力な粘りを持つ自然薯を栽培する「やまいも園」の福永健一さん。2ヘクタールもの広大な畑に整然と植えられた自然薯の栽培を、「仕事を定年してから始めました」という福永さんは、最初は笑われながらも、畑に利尻昆布といった海草を撒くなど、オリジナリティ溢れる農業を展開している。「私は農業を始める前、畑の土を農業試験場に持って行って、すべての土壌成分を調べてもらいました。そして、その結果に従って、肥料を何キロ与えるという風に自然薯を栽培しています。そうすると、人間の体に良いモノは、作物にも良いモノだという結果にたどり着いた訳ですね」。データと経験…そのどちらも大事だが、データに裏付けされた経験ほど心強いモノはない。同じことのない、毎年状況が変化する、自然が相手の仕事だからこそ、偏見を捨て去り、データを上手に用いる福永さん。その姿勢は、未来の農業の形でもある。「調べることは簡単に出来るのことなのに、他の方はしないんです。経験のみを重視して、昔はこうしていた、こんなモノは効き目がないという風に現状を変えようとしないんですよね。ですから、私はイヤ違うんだと、農業は変えていかないと駄目ですよ。昔のやり方でしたら、昔の生活のままですよと訴えている訳です」。そんな福永さんの農場には、毎日大勢の人が、教えを請いにやって来るという。「私の仕事に企業秘密はありません。ここに来て下さった方には、自然薯の栽培方法をすべて教えています。皆が幸せになれれば嬉しいことですからね。しかし、土や気候などの環境が違うので、ここのやり方が、そのまま通用する訳ではありません。当然、教えた方にも研究や努力をしてもらう必要がありますよね」。そんな福永さんの栽培する自然薯は、卸値で1本数万円もの値が付くと言う。しかし、そんな金額ながらも福永さんの自然薯には、ブランド名がつけられている訳ではない。「名前をつけなくても良いモノを作れば売れますからね。名前ではなくモノで勝負です。ですから、やはり天然を超える自然薯を作れるようになりたいと思っています。私が目指すゴールにあるのは、栽培された自然の自然薯です」。

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