匠の蔵~words of meister~の放送

創作仏蘭西菓子 ロワゾー・ブルー【洋菓子 熊本】 匠:霜上明宏さん
2012年11月10日(土)オンエア
洋菓子作りの技術を競うコンテスト『ルクサルド・グラン・プレミオ』で、2007年に日本一の栄誉に輝いた『創作仏蘭西菓子 ロワゾー・ブルー』のオーナーパティシエ、霜上明宏さん。地元住民の声を聞きながら考案したメニューは200種類を超え、『まちのケーキ屋さん』として多くの人から愛される店を経営する霜上さんだが、その原点は、高校3年生の時に、この場所で菓子屋を経営していた祖母から言われた『あとは頼んだよ』の言葉。以来、自分の中で初めて菓子の道に進む決心がついたそう。「その後、東京の製菓学校に進学し、紆余曲折がありながら世田谷にある『成城アルプス』で7年間修行したのですが、そこでは先代から技術より、『人としてちゃんとしなさい』ということを学びました。その後、熊本に戻り現在の店をオープンさせたのですが、それが1999年の12月のことでした」。そんな霜上さんがコンテストに出場するようになった理由は「コンテストは自分を表現する場ですよね。そこに出場することで、確実に自分が進化していることが分かるからです。コンテストで重要なアメ細工が出来なくても店をやっていくことは出来ます。でも、そこで試される感性を磨くことを普段から意識していないと、コンテストでは勝負にならないんですよね」。そうして、オーナーシェフが出場すること、そして、運搬のハンデがある首都圏以外から参加すること自体が珍しいとされるコンテストに挑み続け、日々、感性を磨いてきた霜上さん。そのケーキ作りには、一つのポリシーがある。「とにかく味に関してはキチンと美味しいモノを仕上げるということが絶対条件です。でも、その先にあるのは美しさなんですよね。ケーキ自体の美しさはもちろんですが、ショーケースの並べ方一つを取ってみても、その美しさで、美味しそう、美味しくなさそうと見えてしまうと思うんですよ。ですからケーキにセロハン巻く場合も、ブカブカになって最後に閉じる所がズレているのが大嫌いなんです。そこにあるのは技術ではなく気持ちだけなんですよね。やはりケーキの先にあるお客さんの姿が想像できれば、気持ちを込めた仕事ができると思います。その想像力は大事にしたいですね」。それは愛する子どもが喜ぶ姿を想像して作る、楽しく華やかに彩られた母親の弁当のよう。日本一の技術で客の喜ぶ姿を想像して作る霜上さんのケーキは、五感のすべてを楽しませてくれる。「やはり、ケーキ作りも気分が左右されると思うんですよ。ケーキを買いに来る方で怒っている人っていないんですよね。大抵は何かのお祝いとか、自分一人で食べる場合も、今日は少し頑張ったから、今日は気分がイイから買って帰ろうという感じですよね。そういう時に、販売の人たちが少し素っ気ない接客をしたり、作り手である僕たちがブツブツ文句言いながら作ったりすると、何がとハッキリとは言えないのですが、何かに出ると思うんですよ。ですから、やはり気持ちは大事だと思います。やはり何事も楽しくやらないとですね」。人を喜ばせる、楽しくさせる最たる食べ物だからこそ、作リ手や販売の人の気持ちも大事になる。そんな目に見えない部分にまで気の配られた『ロワゾー・ブルー』のケーキの一番の魅力は、美しさという形に表れた、スタッフ全員の気持ちにある。「やはり、綺麗であり続けたいというか、とにかく美しさは追求したいですね。そこは、これからも自分のスタイルの核になる部分だと思います」。

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