匠の蔵~words of meister~の放送

割烹サトウ【老舗割烹店 大分】 匠:佐藤照次さん
2011年12月03日(土)オンエア
落ち着いた和風造りの座敷で、湯布院を象徴する雄大な由布岳を眺めながら食事を楽しめる老舗割烹店「割烹サトウ」の主人、佐藤照次さん。郷土料理をはじめ、地元の新鮮野菜と朝できたての豆腐が入った名物の地鶏鍋を提供するなど約40年もの間、湯布院の味を伝え続ける。「この店は、もともと喫茶店として始めたのですが、当時の湯布院は徐々に観光客が増え始めた頃で、食事処が少なく、昭和53年に割烹料理の店に鞍替えして再スタートしたんですよね。旅館以外で、仲間とくつろげるような場所がなかった為、多くの地元の若者たちが私の店に食べにきてくれました」。そうして水炊きとは一味違う、薄口醤油で味を付けた出汁に、地鶏の旨味が溶け出した地鶏鍋などを振舞うようになった佐藤さんだが、その地鶏鍋も、最初から看板メニューとしてあった訳ではないという。「最初の頃は、様々な店を食べ歩き、多くの新しい料理を提供していましたが、お客さんが美味しいと言って下さる料理だけを残していったら、現在のメニューが残り、中でも地鶏鍋が評判となったんですよね。新しい味もいいのですが、常連さんが満足して下さっている以上、このメニューと味を守っていきたいですねよね」。今では全国屈指の観光地として名を馳せるようになり、周囲の環境も目まぐるしく変化していった湯布院。しかし、佐藤さんは、そのスピードに敢えて合わせることをしない。「やはり湯布院の者の誇りがありますからね。私たちが提供するのは、あくまでも湯布院の街の雰囲気に合ったモノです。今は合わないモノが多すぎますよね。時代の流れに逆らっているのかも知れませんが、私は崩さないことを信条にしています。スピードが速い世の中ですので、崩さずにやり続ける方が難しいと思いますが、逆に崩さなかったからこそ、こうして今があるのだと思っています」。のんびりと、ゆっくりと、そんな時間の流れる湯布院にやって来る人が求めるモノ。そこを間違うことなく、惑わされることなく歩み続けて来たからこそ、人は「割烹サトウ」に惹き付けられる。

| 前のページ |


| 前のページ |