匠の蔵~words of meister~の放送

パン工房 まきのや【天然酵母のパン屋 大分】 匠:加来茂紀さん
2010年11月27日(土)オンエア
大分の観光地・湯布院の中心街「湯の坪街道」にある行列の出来る天然酵母のパン屋「パン工房 まきのや」の主人、加来茂紀さん。加来さんは、老舗旅館「亀の井別荘」の主人・中谷健太郎さんと無農薬野菜の小売の仕事をしている時に知り合い、自然食の店を別府で営業していた時に無添加のパンを焼いていたことから、中谷さんに誘われるまま平成元年に天然酵母のパン屋をオープン。以来「亀の井別荘」にパンを卸す傍ら、2年目で行列の出来るパン屋に育て上げたと言う。「私の場合は未経験者でしたので、天然酵母のパンしか知らなかったのですが、当時は天然酵母のパンは珍しく実力以上に人気が先行してしまったんですよね。ですから本物の実力をつけようと、60歳から毎年10年以上パンの本場であるヨーロッパに出向いて修行をしています」。そうして常時12〜13種類焼かれているそのパンはモチモチフワフワ。材料には、北海道産の無農薬の小麦粉と、吟味した卵と牛乳が用いられている。「せっかく手間隙がかかり、多くの量を作れない天然酵母のパンを焼いているのですから、その材料にもこだわっています。天然酵母のパンは、味はもちろん風味が全然違いますからね。ですから、観光客の方で時々、『パンを切ってくれ』と言われる方もいるのですが、私は必ず『いや切りません。パンは食べる時に切って下さい』と断っています。パンなんて硬いモノじゃありませんからね、ちぎって食べた方が美味しいし、それぐらい風味というのは大事にして欲しいと思っています」。自らが作ったモノをより美味しく食べて貰いたい…。誰もが当たり前に思うその感情を、臆することなく客へとぶつける加来さん。何故なら、そのパンは、そこまで気を使う価値のある味と風味を持ったパンだから。「良いパンは焼き色、形、風味、すべてが違います。そんなパンをお客さんには、やはり一番美味しい状態で食べて頂いて、そして喜んで頂けたら幸せですね」。

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