匠の蔵~words of meister~の放送

星野民藝 [伝統創作家具 福岡] 匠:内主直さん
2008年11月29日(土)オンエア
九州でも有数の天体観測の地として知られる福岡の星野村で、樹齢数百年の良質な桜材を使用した伝統創作家具を製作する工房「星野民藝」の竹内主直さん。釘を使わずに瓢箪型の木片で部材を繋ぎ合わせる瓢箪継ぎなど、見た目も美しい独創的な造形によってデザインされた竹内さんの家具は、日本国内のみならず、アメリカ・ニューヨークでも高い評価を受けている。代表作は八角の形に「末広がりに家族の幸せが膨らみますように」という願いが込められた火鉢。その重厚でありながら存在感のある洗練されたデザインは、展示場の中でもひと際輝いている。「家具を作る時の基本は、使い勝手が一番です。その次にデザインとなる訳ですが、お客様には末永く2代・3代と使って頂きたいと思っていますので、一つの家具のデザインが決まるまでは、何度も何度も試作して、少しずつ作り変えています。この火鉢は、およそ10年前にデザインが決まったんですが、それまで30年かかりました。デザインの決め手となるのは、やはり時間なんですよね。何万回も作った家具を見て、その間に格闘しながら、心を固めていく訳です。そして、5年経っても自分がこれで良いと思うなら、それで行く訳です」。一切の妥協を排除し、数十年にも及び試作を重ね続ける竹内さん。そういう作業を飽きずに続ける事が出来るというそのものが、匠たる資質だし、いわば才能なのだろう。そして、そんな家具は、かけた時間の数だけ人に愛されるモノになる。「モノが出来上がった喜びは、人には分からないような喜びがありますからね。やはり今でも一つ家具が出来き上がったら、一日に何度も工場に入って、時には寝泊りしながら眺めています。子供と一緒ですよね」。自らを作家ではなく、モノ作りの人だと呼ぶ竹内さんは、今、簡単に芽が出るという木の種を開発し、全国で無料配布しているそうだ。「木が第二の人生で、末永く愛されるものを作るという事、そして、木を使う以上に木を植えるという事は、木の命を頂いて仕事をしている人の責任だと思います。この仕事を続ける以上、これからも種を配る活動は続けていくつもりです」。

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