唐津で十二代中里太郎右衛門(無庵)の五男として生まれた中里隆さん。隆太窯で作品を作るかたわら、デンマークやアメリカ、ジャマイカでも作陶活動を行うなど、世界に名を馳せる陶芸家だ。 中里さんは言う。「唐津の焼き物はいわゆる芸術品ではなく雑器です。今のプラスティックのコップみたいなもの」と。さらに「それだけに心を打つようなモノが無意識にできるというか、美しいモノを作っている自覚がないから力強いモノが生まれる」という。 修行時代には1日に700個もの湯呑みを作ったこともあるという。早く多く作ることで雑念が無くなり、無意識の中から人の心を打つ作品ができるのだ。また、毎日使い続けるからこそ愛着も生まれる。
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