匠の蔵~words of meister~の放送

土井牧場ハム製造所【ハム、ソーセージ 長崎】 匠:土井英博さん
2011年12月17日(土)オンエア
本場・ドイツ式のハム、ソーセージを製造する「土井牧場ハム製造所」の代表、土井英博さん。大正時代に日本に帰化したカール・ブッチングハウス氏から栗原安太郎氏に伝えられたという秘伝のハム・ソーセージの製法を今に受け継ぎ、澱粉や小麦粉、防腐剤を使わず、伝承の技のみで、絶妙な味と香りのハムやソーセージを生み出している。「土井牧場は兵庫県明石市で乳牛200頭の酪農をしていたのですが、都市化が進み、昭和44年に大村市に移ってきました。そして、兵庫にいた頃より栗原氏には先代社長である父が懇意にして頂いており、ハム・ソーセージ作りの指導をして頂けることになったんですよね」。そうして「土井牧場」は昭和57年からハム・ソーセージの製造をスタート。昭和59年に一本化し、社名も「土井牧場ハム製造所」と変更し、再スタートしたという。「私どもの製法は100年前から伝わるモノですから、現在のドイツでもやっていないモノなんですよね。しかし、そうして効率を求めるのではなく、ターゲットを絞り良い商品を作り続けなくては、大手の会社とは対抗していけませんからね」。そんな土井さんは、長崎で製造するのであれば地元の食材をと雲仙のブランド豚「スーパーポーク」を使用。しかし、脂肪の多い日本の豚では不可能な生ベーコンを製造する為に、海外からも食材を輸入するなど、適材適所にこだわった最良の食材で大手と勝負する。「こだわりを持って手作りするということは、毎日食べられる値段で販売することをはできません。ですから私どもは良さを分かって下さる方を相手に商売をするしかないんですよね。今はネット販売にも力を入れていますが、現在はそうしたお客様が、1日1000件以上もアクセスして下さいます」。
豚肉の臭みをとり、豚本来の旨味が引き出された、そんな「土井牧場ハム製造所」のハム、ソーセージたちは20商品を超える。「ソーセージを作るにしても何を作るにしても、やはり、最終的には自分の舌に自信を持たないといけませんよね。100年前から様々な商品がドイツハムとしてあるのですが、その中には、やはり日本人に向かないモノもあるんですよ。日本人には、ちょっと向いていないな〜という商品は、やはり消えているんですよね。ですから今、私どものところが出している商品は、日本人の方にもある程度、好まれる味と言ったら可笑しいのですが、自分が食べて美味しくないモノは出さないというフィルターを通した商品たちということです。ただ、同じ味でずっと来ているのですが、これだけではやはり、お客様には飽きられますし、新商品開発というのは徐々にですが、力を入れてやっています」。なんでも本場の味と言えば、誰もが納得するなんて簡単なモノではない。自らの舌を信じ、本場の製法で、日本人の口に合う商品を生み出し続ける土井さん。それは贅沢な時間を演出したい時に、傍に置きたいハム、そして、ソーセージだった。

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