匠の蔵~words of meister~の放送

竹崎かに料理専門店 和風 味処 かに亭【竹崎蟹料理 佐賀】 匠:大鋸正巳さん
2009年12月12日(土)オンエア
竹崎蟹発祥の地・佐賀県太良町で、唯一の竹崎蟹料理専門店を営む「竹崎かに料理専門 和風 味処 かに亭」の主人・大鋸正巳さん。有明海に突き出た竹崎島・竹崎港の中心...竹崎蟹の銀座一丁目一番地とも言える場所に店を構え、冷凍モノが主流の中、大鋸さんは生簀から取り出したばかりの新鮮な竹崎蟹を調理する。「竹崎蟹は太良町で獲れるワタリ蟹なのですが、干満の差が激しく溶存酸素の豊富な有明海で獲れる蟹は、肉質が素晴らしく瀬戸内海で獲れるそれとは区別されています」。そんな竹崎蟹を子どもの頃から味わい続け、竹崎蟹本来の旨味を知り尽くしている大鋸さん。この店は、昭和58年に竹崎蟹の全国宅配の店として営業を開始したそうだが、生簀の蟹の茹でたてを食べてみたいと言う店頭に来る客の要望に応え、3年後に2階に蟹料理専門店をオープンさせたと言う。「本来の竹崎蟹の味を楽しみたいのであれば、やはり生きている新鮮な蟹を一撃でシメ、そして塩茹でしたものを“ふ〜ふ〜”と言いながら食べるのが一番ですからね。それが小さい頃から食べてきた味でもあるし、当たり前という想いもあります。それを色々と細工したり、手を加え過ぎたりすればする程、本来の味からは遠ざかって参りますので、私は出来うる限り、幼い頃から覚えている竹崎蟹の味を提供し、お客様に喜んで頂きたいと考えています」。そんな大鋸さんが提供する竹崎蟹の魅力は、ただ新鮮だという事と、その産地にだけある訳ではない。「大分の関サバを獲る方などもそうだと思いますが、その場所で新鮮なサバを獲るだけではなく、上手にシメるなど、獲った後の処理まで工夫されてブランド化されています。それと同じで、ここで獲れた蟹でも、扱い方を下手にすれば味が落ちてしまいますので、やはり基本的な処理方法をきちんと守って頂いたものは竹崎蟹…そうでないものは、単なるワタリ蟹と解釈してもよいのではないかと思います」。地産地消が叫ばれる中、新鮮なモノを手に入れる事と、その新鮮さを維持する事の両方をやって、初めて地産地消が本来の意味持ち、客がそこまで足を運ぶ意味を生む。地産地消の影には、やはり、その新鮮さを守る、大鋸さんのような確かな腕が存在している。「竹崎蟹料理なら本場のここまで行かないと、美味しいのは味わえないという事だけを全面に打ち出しています。逆に言えば、そこにしかウチの店の生きる道もなかったと思います。かつまた、竹崎島中央の岸壁の真ん中にあるこの場所で、おかしな味の蟹を出すなどすると、竹崎蟹全体の名前が潰れてしまいますからね。長年、郷土の先輩たちが培って作り上げてきた信用を壊すような事は、やはり絶対に出来ませんからね」。

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