鎌倉時代より以前、今の山口県ひかり市で誕生したと言われる日本の伝統芸能「猿回し」。そんな、お猿さんと調教師の息の合った「猿回し」ショーが鑑賞出来る、熊本は阿蘇にある、「阿蘇お猿の里 猿回し劇場」。この場所でお猿の勘平とコンビを組み、アメリカ公演なども成功させている人気調教師の村崎新八さんは、修学旅行の学生達への講演を頼まれる事が多いそうだが、その時、必ずする話があるそうだ。「芸を覚えないお猿さんていないんですよ。絶対覚えます。それが一週間で覚えるお猿さんもいれば、半年かかるお猿さんもいます。でも、諦めないで続けていたら絶対に結果を出すのがお猿さんなんですよね。だから、修学旅行の子供達にも諦めないで頑張ったら、絶対に出来るようになるからって、出来ない事ないんだよって、僕達はお猿さんからそれを習ったという話をします」。そして、村崎さんは、それは調教師にも言える事だと言う。「よく調教の苦労を教えて下さいって聞かれるんですけど、もう繰り返し繰り返しなんですよ。そんな中で調教師でも、もう駄目ですと、自分はもう教えられませんて、くじける奴いるんですよ。でも、本当に駄目だったら諦めようと。そしたら、ある時変わるんですよ。どんなにキツくても、やり続けたら、ある時、飛躍的にスコーンて、成功する事があるんですよ。それが猿回しの面白さでもあるし、そういう事があるから、本当に芸を覚えた時とか、感動ですよ。もうそれはそれは毎日がドラマですよ」。仕事にしても勉強にしても習い事にしても…やった分に正比例して上向くもんじゃない。遅々として上向かない中でも続けて行く事で、ある時点から飛躍的にうまくいくもんだ。その臨界点まで頑張れるか、その臨界点がある事をあらかじめ分かっていたかが大事だ。楽しいショーの裏側では、楽しいだけじゃない匠とお猿さんのドラマがあった。
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