匠の蔵~words of meister~の放送

2009年総集編2 食 匠:
2009年12月26日(土)オンエア
2009年に取材した匠たちの輝く言葉を振り返る。今回は食の分野で活躍する匠。これまで二代目として味を受継ぐ数多くの匠を取材してきたが、創業40年を超える宮崎名物・釜揚げうどん店の暖簾を父親から受継いだ「戸隠」の二代目・猪野龍治さんの話には、深く感銘を受けた。「二代目として跡を継いでスタートした時に、常連のお客さんが『親父と違う』とか『まずい』と言うんです。親父と同じように作り、親父からも『大丈夫』と言われても、お客さんは『駄目だ』と言うんですよね。それは、二代目として跡を継いだ人たちの宿命だと思うのですが、比べる相手がハッキリといますから、前の人と同じレベルだと、前の人以下でしか見られないんですよね。だからと言って、新しいモノにチャレンジし、いくら美味しいモノを作っても『前と違う』と言われるので意味がありません。同じモノの中で、もうワンランク上に行けるように努力して、やっとスタートラインに立てると思うんですよね。ですから、今の『戸隠』の味は、実は親父が作っていたものとは全然違うんですよね。しかし、お客さんは、前と同じ味だと感じていると思います」。同等だったら前任者の勝ち。それを超えて受け継いだ…引き継いだと言える。担当者が替わるなど私達の周りでも、それはよくあることだ。そして、中華の料理人から「熊本ホテルキャッスル」の社長に就任したという、斉藤隆士さんの話も、料理の世界だけでなく私たちの暮らしや仕事でも言えるいい話だった。「人からは、これまで『相当苦労なさったでしょうね』と、よく言われますが、私はそんなに苦労したとは思っていないんですよね。どの世界でも嫌なことはあると思います。しかし、好きでやっているのなら、それは苦労ではなく訓練ですからね。ですから苦労と思ってしまった時には、その仕事辞めればいいんです」。もちろん辛いこともあるが、この仕事を好きでやっている…。来年も匠たちの言葉を胸に精進していこうと思います。皆さんも良いお年を。

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