長崎県の壱岐で真珠貝を養殖し、高品質な真珠を制作する「上村真珠」の上村陽さん。台風など、様々な自然現象に対応しながら、常に安定した美しい真珠を作る上村さんの仕事に対する信条は、「原因をトコトン追求する」だそうだ。上村さんは何度も失敗を繰り返しながら、その事に気付いたという話をしてくれた。「もう出来てしまった事はしょうがないから、じゃあ、その原因になった理由というのをトコトン追求して、それをクリアして行こうじゃないかと。流してしまって見逃して次に行くと、またそれにブチ当たるんです。それを乗り越えないと、絶対にそこに戻ります。だから、トコトン追求するって言うのはそこなんですよ」。原因をトコトン追求する…言葉にするのは簡単だが、労力と面倒な作業が伴う事でもある。しかし、上村さんは、自分に甘くなってしまう事があっても助けてくれる人がいるから頑張れると言う。「くじけそうになった時に、補佐してくれるのが社員じゃないかなと思うんです。社員も私と同じような気持ちで仕事していますから。ですから、私一人で目が届かない所も社員全員で見ておくんです。そうすれば、防げる問題も防げてくると思うんですよね。やっぱり協力者っていうのか、そういう人を増やす事が一番の事じゃないかと思います」。より高いモノを求めれば求めるほど、一人では限界がある。そして、自分をサポートしてくれる人がいればいるほど、その限界がなくなる。上村さんは、真珠を育てると同じに、自分をサポートしてくれる人を育てる匠であった。

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