匠の蔵~words of meister~の放送

山田農園【ホワイトアスパラガス 大分】 匠:山田定男さん
2009年01月17日(土)オンエア
大分県内で最大規模を誇るホワイトアスパラガスの生産農家「山田農園」の山田定男さん。フランス料理には欠かせない食材であるホワイトアスパラガスは、一般に出回っているグリーンアスパラガスと同じ種類であるが、日光を浴びて育った茎がグリーンで、光を当てずに育てたものがホワイトとなる。通常、土から春芽が伸びだす季節に生産され、国内では九州で3月末から収穫が始まり、6月の北海道での収穫で終わりを迎える季節限定の作物だが、山田さんは独自のアイディアで、10月まで安定して出荷出来る技術を開発したそうだ。「グリーンは10月まで収穫できるのに、同じ品種のホワイトが収穫出来ないはずはないと思い始めたのですが、夏は光が強いのでホワイトの色を出すのが難しい。しかし、それでも諦めずに試行錯誤を重ね、うまく光を遮る手法を生み出し完成させました」。山田さんは、そうやって生み出したホワイトアスパラガスには、希少性以外の付加価値も生まれたと言う。「成長の早い夏に育つホワイトは、春先に育つホワイトに比べ、アクやエグミが少なく甘味の強いホワイトアスパラガスとなります。未だに4割はグリーンとなってしまいますが、6割のホワイトは、東京の老舗スーパーなどからも注文が入る程、多くの方に喜んで貰っています」。新日鉄の技師として全国各地で勤務し、約8年前に両親と共に暮らす為に大分にUターンしてきた山田さん。農業の素人ながら様々な人との交流と勉強を重ね、アスパラガスの将来性に賭けたそうだ。「これまでは良い鉄を作る為にはどうするかという事を考えてきましたが、それが良いアスパラを作る為にはどうするかという事に変わったという事です。鉄でありアスパラであり、やはり一生懸命作ったものは、より高く売れた方が良いじゃないですか。その為にはどうするかという事を実践した結果だと思っています。今、農業は後継者問題を含め、方向転換の時期に来ていると思います。やはり作り方の勉強をするとか、栽培技術をレベルアップするとか、自分達が作った作物に付加価値をつけていかないと厳しいと思います。今、日本全国で、『儲かる農業をしなさい』、『担い手を作りなさい』という事が盛んに言われているのですが、儲からない農業に担い手は絶対に出来ませんからね。その為には、ただ一生懸命作るだけでは駄目だという事です」。山田さんは、『金儲けを頑張りなさい』と言っている訳ではない。昔のように農薬を使って楽したり、沢山採ろうとしたりではなく、味・作り方...そういう他にはない、客に喜んでお金を払って貰えるモノを作らなければいけないという事だ。「これからは、人と違うそのものをPR出来る生産者が増えると良いと思ってます。しかし、これもホワイトアスパラガスを作ったからこそ言えるんですけどね」。

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