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提供:創価学会
FM福岡(土)14:55-15:00
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2020年5月23日「六甲山の開祖」

六甲山といえば神戸を代表するリゾート地ですが、その礎を築き「六甲山の開祖」と呼ばれるのは、英国人貿易商アーサー・ヘスケス・グルームです。

グルームが来日したのは神戸が開港した1867年。
来日してすぐに貿易商として成功した彼は、日本の女性と結婚します。
9人の子宝にも恵まれ、50年間の夫婦生活を互いにいたわり合いながら過ごしたと言われています。
そんなグルームを虜にしたのが、六甲山でした。

多彩な趣味をもっていた彼が英国に住んでいた頃から夢中になっていたのが狩猟:ハンティング。
手つかずの荒々しい六甲山は野鳥や小動物の天国で、喜び勇んで出かけては狩猟に熱中しました。
しかしその様子を見ていた妻は、やんわりとこう諭します。
「鳥の家族も私たちの家族も同じ。わずか一羽が欠けてもその家族の嘆きを考えると、狩猟はいかほどのことでしょう」

この一言に自分のしたことを深く後悔したグルームは、命あるものを殺生したお詫びの印として、六甲山を開いて人々が自然を慈しみながら楽しく過ごせる山にしようと決意します。
自ら六甲山に移り住み、仲間を集めて山を開拓。
道を整え、別荘地や日本初のゴルフ場を作り、植林や砂防工事も自費で行ないました。
グルームが六甲山の開祖へと至るその礎には、妻の一言があったのです。